プロ野球12球団と日本野球機構(NPB)は14日、臨時12球団代表者会議を開き、日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」の本塁後方ファウルゾーンの広さ(約15メートル)が、公認野球規則の規定(18.288メートル)を満たしていないことについて協議し、来オフ以降に改修することを前提に来季は特例で使用を認めることを決めた。

   ◇   ◇   ◇

大前提として、日本ハムの認識が甘かったと言わざるを得ない。仮に公認野球規則の「必要とする」の表現が米国規則の誤訳だったとしても、日本のルールに沿うのは当然。日本ハムが根回しをして公認野球規則の改定作業を同時に進めていれば、臨場感を求めるファンにも最高の決着になったかも知れない。それを怠った代償として、莫大(ばくだい)な改修費用を負担することになった。

だが、NPBの新球場建設に関する手続きにも、不十分な面があったと指摘したい。今年3月の新球場の内覧会では、本塁とバックネットまでの距離15メートルがアピール材料にされていた。規定に反することをNPBは、いつ認識したのか。井原事務局長は「明確には分からないが、騒ぎになってから」と、つい最近とした。3月の内覧会はメディア向けであり、NPBがそこまで把握する義務はない。それでも「15メートル」は早い段階で公になっていた。NPBも、他球団も、問題の存在を見落としていたことになる。自戒を込めて書くが、メディアもそうだった。

設計図などによる新球場の事前審査は定められていないという。過去、事前に提出した球団もあったが自主的なもので、今回はなかった。冒頭に書いたとおり、問題の発端は日本ハムの認識不足にある。しかし、規則は規則というだけで全てを日本ハムの責任にすれば、将来また同じ問題が起きかねない。これを機に、新球場の承認手続きの明文化が必要ではないか。別の議論にはなるが、ファンの視点に立って15メートルでもOKとする、公認野球規則の改定議論が進むことも望む。【NPB担当=古川真弥】

◆公認野球規則2・01 「競技場の設定」として次の通り定めている。「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18・288メートル)以上を必要とする」。