“曲芸打ち”で200安打だ! 阪神近本光司外野手(28)が7日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2000万円増の1億7000万円でサインした。岡田監督が1番を期待するヒットマンは未到達の200安打へ、想定外の形で打つヒットを増やすことが近道と持論を展開。「変態打ち」とも称されるソフトバンク柳田らの“曲芸打ち”も身につけ、夢の大台を目指す。

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2000万円増の1億7000万円。入団から4年連続昇給を果たし、笑顔で契約更改を終えた近本が、打撃の野望を明かした。来季の目標は例年通り「200本(安打)」と宣言。今季はリーグ6位の154安打をマークしたが、46本足りなかった。178安打で最多安打の21年も22本足りなかった。来季5年目の大台実現へ、狙うは思いがけない形でのヒット量産だ。

今季は5月末から7月頭にかけ、NPB史上5位タイ、11年マートンに並ぶ球団タイ記録の30試合連続安打を記録した。「続けてできた収穫があったけど、ちょっと足かせになったところもあった」と説明。「イメージしたヒットとか、狙ったヒットがすごく多かった。その中で成長できる幅って結構狭いんで」と独自のヒット論を展開した。

究極の理想は“曲芸打ち”だろう。「変態打ち」と称され、完全なボール球でも無理な体勢で本塁打にしてしまうソフトバンク柳田や、ワンバウンドをヒットしたこともある広島西川ら、悪球をさばいて予想外の結果を導く選手がいる。阪神では高山が代表格だ。「『こういう狙いで、こういうヒットを打ちたい』となっているけど、でも(理想と)違う動きができたとなれば、それをうまく使えるようにしていきたい。それが新しく成長していくということになる」。体の柔軟性を高めるために今オフ取り入れた「ダンストレ」も曲芸成功への準備だ。

近本はシーズン中、打席で空振りやファウルを打った際に、笑顔を浮かべることが多々ある。「ストレートを待って、チェンジアップを空振りするにしても、今までしないような空振りが出ると、逆にそれが面白い。『こうファウルになるんだな』とか。駆け引きの楽しさというか。予想しないプレーがあると、野球って楽しいなと」。

想定外のプレーを自ら「認知を超える」と表現する。「イメージと違うプレーをした時がすごく楽しい。勝手にホームランになっていたとか、勝手にヒットになっていたとかの方がすごく楽しいですね。そういったプレーをもっと増やしていきたい」。虎のヒットマンは安打製造の求道者。貪欲に200安打を目指す。【古財稜明】(金額は推定)