2022年、担当記者たちの心に響いたコメントをまとめた「言葉の力」。第3回はメジャー、侍ジャパン、アマチュア編です。

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エンゼルス大谷「First Pitch, Full Swing. That's it!!(ファースト・スイング、フルスイング。ザッツイット!)」(7月19日、2度目のオールスター出場で1番打者として打席に入る前にドジャースタジアム5万人のファンの前で英語の決意表明。初めて超満員の観衆の前で英語を披露=斎藤庸裕)

 

エンゼルス大谷「2つやっている段階で(投打の規定に)乗るか、自分として目指すべき数字なのかどうか。やってみないと分からないので、それが分かったのが良かった」(10月5日、シーズン最終戦で史上初の投打ダブル規定到達を達成。トライしてみないと分からない、開拓者精神が表れていた=斎藤庸裕)

 

エンゼルス大谷「長かったですけど、やっぱりいいものだなと思います。14連勝できるように頑張りたい」(6月9日、球団ワーストの14連敗を投打の二刀流で阻止した試合後のコメント。勝利への飢えと、連敗中の苦しみが感じられた=斎藤庸裕)

 

エンゼルス大谷「行ってないですね。行こうかなと思いましたけど、ずっと寝てたので。夜、(チーム宿舎で)マッサージとかしてもらっていました」(7月6日、初のマーリンズ戦で先発。マイアミ初見参でも、観光名所マイアミビーチには訪れず、登板前の準備に徹した=斎藤庸裕)

 

エンゼルス大谷「一番は、勝ちたいなと。ここから(レギュラーシーズン終了後から)が本番だという気持ちでプレーできるように、頑張りたい」(10月5日、シーズン最終戦を終えた後のコメント。悲願のプレーオフ進出へ改めて決意を示した=斎藤庸裕)

 

エンゼルス大谷「純粋に野球を楽しみたいと思ってますし、それを見て幸せな気持ちになってくれたら、それはうれしいことなので、自分自身が楽しんで、毎日プレーしたい」(7月18日、オールスター戦の前日会見。野球に対してまっすぐに、真摯(しんし)に取り組む姿勢を示した=斎藤庸裕)

 

エンゼルス大谷「アメリカももちろん、他のラテン系の国も、多くのメジャーリーガーが、本当にトップクラスの選手が出ているので、そこも含めて魅力はもちろん感じています」(10月18日、出場を希望する来春WBCの魅力を語った=斎藤直樹)

 

エンゼルス・マドン前監督「この(メジャーの)レベルで出来るのは空想の世界。足(股関節)の問題もあったし、寒い気候で昨夜は午後11時までの試合。それが今日は彼にとって今年のベストだった」(5月5日、レッドソックス戦で快投。前日はナイターの延長戦で、翌日に二刀流で活躍した大谷を前監督が称賛=斎藤庸裕)

 

ツインズ前田「しばらく表舞台から消えていたので…。今日のスピードは99マイル(約159キロ)くらい…。いやいや、実は90マイル(約144キロ)ぐらい。できれば手術する前より速くなっていたいなと思っているので、もうちょっと出したいと思います」(9月21日、手術後、2回目のフリー打撃に登板。来春復帰へ向け、順調な回復ぶりをジョーク交じりに=四竈衛)

 

カブス鈴木「マイク・トラウト、アイ・ラブ・ユー」(3月19日、入団会見で背番号27を選んだ理由を聞かれ、ちゃめっ気たっぷりの表情を浮かべながら英語で即答。地元メディアの爆笑を誘い、好印象を残す=四竈衛)

 

カブス鈴木「年を取ればどんどんケガも増えると思いますし、でもいろいろその対策っていうのはできると思うので、年とともに体がどんどん落ちていくと思うんですけど、なるべくそういうところは気を付けないとなと。変わらず元気で、ずっと野球をやれたらいいなと思います」(28歳の誕生日の3日後に2桁本塁打をマークし、思いを語った=水次祥子)

 

パドレス・ダルビッシュ「今までいろんな方にお世話になってますけど、このフラフラしていた自分を大きい愛で育ててくれたファイターズあってのことだと思いますので、本当にファイターズには感謝しています」(9月3日、日米通算3000奪三振に到達。これまでの道のりを振り返って=四竈衛)

 

元ヤンキース松井秀喜氏「ご隠居って…ご隠居だったら響きがいいけどね。ニートとかかな」(8月6日、ニューヨーク郊外での野球教室後、現在の状況を聞かれて=四竈衛)

 

元ヤンキース松井秀喜氏「努力したというほど努力していない」(10月15日、学生時代の努力を聞かれて。部活動以外に自宅で毎日トス打撃を行っていたが、野球が好きでやっていた感覚だったという=斎藤直樹)

 

マリナーズのイチロー氏「アメリカの人って、ごはん食べに行って、じゃあまた明日、さよならってするときに、2度と振り返らないですよ。日本人って、みんなそうだとは言わないけど、多くの人が最後まで見送る。見えなくなるまで。で最後、もう1回振り返って、おじぎする。その文化を僕は大好きで。1回くらい振り返ろよと、それはよく思います」(8月26日、球団殿堂入りの記者会見で米国で長い年月を費やし感じたこと=水次祥子)

 

マリナーズのイチロー氏「生きていたら何が起こるか分からないということですね。誰も想像していなかったですし、僕自身も。どのタイミングでも想像できなかったです」(8月26日、球団殿堂入りの記者会見で心境=水次祥子)

 

イチロー氏「ほとんど負けてますから、プレッシャーには。ただ、人の記憶に残りそうな場面で結果が出ると、注目してくれるからね」(11月3日、高校女子選抜との試合後、プレッシャーに打ち勝つ方法を問われた際に答えた=星夏穂)

 

レッドソックス吉田正「そうですね。すごいなと思います。他人事です。エージェントがそこはやっているので」(12月8日、レ軍と5年契約の感想を問われて。他人事という言葉に選手とスーパー代理人ボラス氏の関係を垣間見た=斎藤直樹)

 

パイレーツ筒香「このままシーズン最後までメジャーでプレーできる保証なんて、どこにもない。必要とされればプレーできるし、そうでなければ、いつリリースされてもおかしくない。それが日常的なこと」(7月初旬、腰痛でマイナー調整中に鬼気迫る思いを吐露=為田聡史)

 

侍ジャパン栗山監督「オールジャパンで、野球人みんなの経験、知恵を全部、僕の頭に入れる」(3月2日、代表監督就任後、アマの現場にも積極的に足を運んだ=古川真弥)

 

侍ジャパン栗山監督「若い選手たちが一生懸命やってくれていて、プロアマ超えて躍動する姿を見ると、野球に感謝です」(8月1日、U23NPB選抜を率い大学・社会人選抜に勝利。代表監督就任後、初の采配を終えると野球に感謝した=古川真弥)

 

侍ジャパン栗山監督「日本の絡みがある選手、思い切り探してます。冗談じゃなくて」(8月14日、代表に日系メジャー選手を入れるアイデアを披露。常識にとらわれない栗山監督だからこそ=古川真弥)

 

侍ジャパン栗山監督「あなたが日本野球なんです。そう思って野球をやってくれ」(代表監督として初陣となった11月の強化試合で選手たちに熱い思いを伝えた=古川真弥)

 

侍ジャパン栗山監督「一生に1回でいいから、ダルビッシュってメンバー表に書かせてくれ」(12月6日、パドレス・ダルビッシュへの代表入りの口説き文句を披露。思いは通じた=古川真弥)

 

エンゼルス大谷「各国の素晴らしい選手や5年ぶりに日本のファンの皆様の前で野球ができるのを楽しみにしています!!」(11月17日、インスタグラムでWBC出場意思を表明。ファンも楽しみにしています!!=古川真弥)

 

ヤクルト村上「何事も経験というのは大事なので」(11月9日、侍ジャパンの4番として臨んだオーストラリア戦で5回に右翼へ2ラン。昨夏の東京五輪決勝から史上初の代表戦4戦連発に、数々の修羅場をくぐり抜けて積み上げた自信をさらに深めた=木下大輔)

 

侍ジャパン・巨人大勢「本当にすごい方たちが集まっているチームなので。僕の失点でみなさんの顔に泥をぬるわけにはいかないプレッシャーがあった。本当に、絶対に、何がなんでも、もう死んでも抑えようと投げていました」(11月5日、侍ジャパンデビュー戦で1点リードの9回に登板し、3者凡退。日の丸の重圧を剛速球で振り払った=小早川宗一郎)

 

侍ジャパン・阪神佐藤輝「『これが侍ジャパンなんだ』と、すごくワクワクしています」(11月4日、初めて侍ジャパンのユニホームに袖を通して一言。憧れ続けた日の丸に胸を高鳴らせた=中野椋)

 

早大・小宮山悟監督「マネジャーはマネジャーでしょう。そこに性別は関係ない」(6月1日、東京6大学春季フレッシュトーナメントで野球部史上初となる女性の藤田マネジャーがベンチ入り。大会前に、学生から女子マネのベンチ入り可否を問われた際に答えた=保坂恭子)

 

明大・村松開人主将「日本一を目標にやってきて、後輩たちにそれを経験させてあげられた。責任感が1つ肩から降りた感じがありました」(11月24日、明治神宮大会で優勝。中日ドラフト2位でプロ入りする主将の思いを感じた=保坂恭子)

 

大阪桐蔭・星子天真内野手「お客さんが手拍子して、のまれそうになった。2年生の前田が投げていたけど余裕がなかった。声を掛けられず申し訳ない」(8月18日、夏の甲子園準々決勝下関国際戦で、9回に逆転負け直後の主将の悔い。優勝候補大本命が勝負の厳しさを知った=酒井俊作)

 

聖光学院・赤堀颯内野手「このチームで最後になってしまうという恐怖感が襲ってきた感覚がありました」(8月20日、甲子園準決勝で大差をつけられ迎えた9回裏の攻撃中に一塁で流した涙に表れていた=山田愛斗)

 

天理・中村良二監督「まわりのことも考えてやれるようになったなと。そういうところは成長したかなと」(7月28日の奈良大会決勝で、対戦相手の生駒がコロナ禍に見舞われ、レギュラーがそろわず。試合後、戸井主将の提案で天理ナインが喜びのガッツポーズを控えた姿を見て、監督は男泣きした=堀まどか)

 

天理・内藤大翔(やまと)内野手(3年)「最高の引退試合になりました」(今夏奈良大会の決勝にコロナ禍で出られなかった生駒の部員を思い、天理が提案した練習試合が9月11日に実現。白熱した試合後は内藤が生駒ナインに声をかけて全員で喜び合い、高校3年間をそう総括した=堀まどか)

 

明秀学園日立小久保快栄「嫌なこと、キツいこともたくさんあるけど、元気でプレーできるのは幸せなこと。春夏、甲子園に行った時、お兄ちゃんと一緒に(甲子園に)行けるな、と思いました。一緒に戦っている気持ちでした」(小久保が10歳のときに小児がんで他界した12歳の兄・帝我さんの思いを背負い、甲子園で戦ったときの思いを振り返り=保坂淑子)

 

亜大・田中幹也「母は手術をして欲しくない。父は自分の人生、自分で決めろ、と。僕は、野球ができなくなってもいいから、この病気を治したいと言いました。とにかく命を…野球を捨てても、この病気を治したかった。生きていければいい、と」(今夏、国指定の難病「潰瘍性大腸炎」を患い、痛みと戦う中で、手術を決断したときの本音。手術が成功し中日6位で入団=保坂淑子)

 

帝京前監督・前田三夫氏「指導者としてはいろいろな苦労があります。絶対に逃げないでください」(12月3日、東京都高校野球連盟主催の指導者研修会で監督生活を振り返った。50年間戦い続けた名将が放った言葉は重かった=星夏穂)

 

旭川大高・端場雅治監督「野球は9回まで。集中を切らさないように伝えていた。いい流れでしたし最後まで集中していた。でも勝負ごとですから、勝ちたかった。詰めが甘かった」(8月10日、大阪桐蔭相手に先制するも逆転負け。監督30年目、7度目の甲子園も1勝に届かず。この後、監督を退任。悔しさと、やりきった感が入りまじる=永野高輔)