ダイエーなどで活躍した浜名千広氏(53=日刊スポーツ評論家)が、23年のパ・リーグの順位を占いました。福岡を中心に評論家活動を続け、古巣ソフトバンクを定点観測してきた同氏ならではの分析をお楽しみください。

 

◆浜名千広氏のパ・リーグ順位予想

1位ソフトバンク

2位オリックス

3位ロッテ

4位日本ハム

5位西武

6位楽天

3年ぶりのV奪回を目指すソフトバンクはオフの「大補強」から思えば、少しばかり「期待値」の下がる開幕入りとなった。WBCで侍ジャパンの世界一に貢献した近藤と新守護神のオスナの2人は十分に実力を発揮しているが、新外国人のホーキンス、アストゥディーヨはオープン戦でもなかなか結果を残すことはできなかった。さらにメジャー移籍した千賀の穴を埋めるべく獲得した先発候補のガンケル、有原は開幕ローテ入りすることができていない。もちろん、長丁場のシーズンを通して彼らが活躍してくれれば、問題はないが、現時点では大型補強で「大戦力」とまでは言い切れない状況だろう。

とはいえ、ホークスの選手層はリーグでも充実している。主砲柳田のバットからなかなか快音が響いていないものの、オープン戦では完全復活を目指す栗原が絶好調。開幕から新4番として起用してもらいたい。長打力もあるし、好不調の打撃の波も少ない。昨年、左膝に大けがを負ってシーズンを棒に振った。好調で入ったシーズンだっただけに、悔しさも募っただろう。今季にかける気持ちも強いと思う。副キャプテンとして迎えた春季キャンプ。栗原は練習時にチームの声が小さかったと言った。出すように主導できなかったというようなことも話した。復活を期す自分のことで精いっぱいかと思ったら同時にチームのことも考えていた。若くキャプテンシーもあるので、打線の主軸としてしっかりけん引してくれるはずだ。

投手陣に目を向けると、やはり先発陣の踏ん張りが大きなカギを握る。モイネロ-オスナとつなぐ8、9回の締めはリーグNO・1。ブルペン陣も又吉、嘉弥真、松本裕、泉、津森、椎野と、経験豊富な中継ぎ陣がいる。ここ数年の課題でもあるが、先発陣が安定した力を発揮できれば、ブルペンの負担も減り、強く盤石な継投が持続できる。先発では開幕投手に指名された大関や、先発転向した藤井、板東といった若手の活躍に期待したい。経験のある和田、東浜、石川に加え、いかに新しい先発陣をそろえられるか。彼らが1つでも2つでも貯金を積み重ねることができれば、先発ローテにも「新しいチーム」の形が見えてくる。世代交代への転換点となるシーズンでもあると見ている。

昨シーズンはあと1勝に泣いた。チームもファンも忘れられない「あの悔しさ」を晴らす1年が来た。(日刊スポーツ評論家)