巨人中山礼都内野手(21)が今季初の打点で苦境のチームを救った。2回無死満塁、中日高橋宏から先制の中前適時打をマーク。1点差に迫られた9回先頭では右前打を放ち、追加点の起点となった。大城卓の2号ソロ、岡本和の2点適時打も飛び出し、チームは連敗を3で止め、最下位から1日で脱出した。

   ◇   ◇   ◇

地元・名古屋で中山の若々しいスマイルが輝いた。「本当にうれしいです!」。2回無死満塁、中京大中京(愛知)で同級生だった中日先発の高橋宏の剛速球を捉えた。「(意識)しないようにしようと思っていたけど、多少意識する部分はあった」。156キロ直球に打ち負けず、中前にはじき返した。今季初打点となる先制適時打に、一塁ベース上で右拳を振り上げて渾身(こんしん)のガッツポーズ。「僕らの地元で対戦できたのはすごく楽しかった」とかみしめた。

高卒2年目だった昨季4月30日、坂本が右膝を負傷して離脱した。代役を皮切りにシーズン50試合に出場。1軍経験を積んで自らの力不足を痛感させられた。坂本が離脱していた5月1日から6月8日までで30試合に出場し、打率1割9分5厘、わずか1打点でチームは14勝18敗で借金4と苦しんだ。

「(坂本)勇人さんがケガをしてしまって、自分が試合に出させてもらったけど、そこでチームが下降線になっていった。去年の悔しさというのは常に自分の中にある」

今でも悔しさが己を突き動かす。試合直前までウエートトレーニングをしたり、試合後も素振りをしたり。大久保打撃チーフコーチも「こっちが止めなきゃいけないくらい練習する」と証言する。あるのは勝利への思いだけ。「自分が出た試合で負けたくない。自分が出た試合で勝ちたい。まずはそれが一番だと思ってやっている。その先にレギュラーというものがあるんだと思っている」と道筋を立てた。

気合にあふれたフレッシュさで、前日に3連敗で5年ぶり最下位に沈んだチームを先制打で活気づけた。「とにかく目の前の試合を勝つことだけ。流れを変えてやろうという思いは強く持っていた」と目をギラつかせた。負けの悔しさはもういらない。【小早川宗一郎】

◆中山礼都(なかやま・らいと)2002年(平14)4月12日、愛知県生まれ。沢上中時代は東海ボーイズに所属。中京大中京では1年夏からベンチ入り。2年秋に明治神宮大会で優勝。20年ドラフト3位で巨人入団。2年目の22年、5月3日広島戦で1軍デビュー。今季推定年俸1260万円。182センチ、82キロ。右投げ左打ち。

▽巨人原監督(先制打を含む2安打1打点の中山に)「今うちのバッターに一番必要なところだね。詰まってでも体勢崩れてもというね。非常に中山の思いきりの良さはいいものが出たと思います」

○…中継ぎ陣が好リリーフで踏ん張った。2点リードの6回1死二、三塁から登板した鍬原が犠飛の1失点だけでしのぎ、1回1/3を投げきった。7回2死一塁からは大江、8回は直江が無失点で、9回は大勢にバトンをつないだ。原監督は「よく投げたと思います。このところの若い衆たちの頑張りって非常によく映ってますね」とたたえた。

【関連記事】巨人ニュース一覧