競争原理がロッテを押し上げた。打線が10安打6得点とつながり3連勝。開幕カードで3タテを食らったソフトバンクに“3連勝返し”を果たし、21年10月24日以来546日ぶりの単独首位に立った。

好調の藤原が休養日だったため、代わりに1番に入った平沢大河内野手(25)が適時打を含む2安打1打点。打てなければ2軍という危機感が、原動力となっている。

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一塁に達した平沢は誇らしげだった。自軍ベンチに向かって左手を掲げ、右手で2度、胸をたたく。チームに浸透してきたポーズに、マリンの熱気がグッと上がった。「なかなか打席がない中で大下が仕事をしてくれた。点を取りたかった」。1-0の4回、無死一、二塁で8番の大下が1球で犠打を決めるも、9番岡が凡退。しぼみかけた好機でソフトバンク大関の甘い146キロを右前に運んだ。

5年ぶりの1番で存在感を見せたが「反省もあります」と浮かれなかった。初回は初球を振って中飛。振り抜いた積極性は悪くない…とはしなかった。「種市が(表で)30球ぐらい投げていたのに、初球を打っちゃって。申し訳ない」。先発投手のことも考えて、打線の先頭に立つべき。その反省が、3打席以降の2安打につながった。

喜びは一瞬だ。3試合連続安打で3連勝に貢献しても「毎日が勝負なので。ファームには高部がいます。打たなかったらファームと思っている」と、昨季盗塁王の存在に口元を引き締めた。そう話す平沢が守るのは右翼。超高校級の遊撃手として入団したが、思うような成績を残せずにきた。遊撃のこだわりを捨て、試合に出ることに専念する。だから、現在の登録が内野手のままなのか問われ「どうなんでしょう。分からないです」と真顔で答えた。

7回は佐藤都が3ラン。直後に2点を失っただけに、田村と併用される捕手の1発は大きかった。固定メンバーで戦うチームではない。競争が強くする。吉井監督は「(単独首位は)関係ない。毎日全力でやるだけです」。指揮官の言葉どおり、出場した選手が全力で勝ちをつかんだ。【古川真弥】

▽ロッテ福浦ヘッド兼打撃コーチ(平沢の1番に) 選球眼は、もともといいからね。今は得点圏でも打つ。

▽ロッテ吉井監督(藤原の欠場に) 休養日です。今日と明日、休んだら。オープン戦から、ずっと1人、出続けてたと思う。課題は体力。へばらすと戻ってこない。その前に休養を、と思いました。

▽ロッテ藤岡(二塁打2本に犠飛) 種市に勝ちをと思って打ちました。(出塁率4割5分7厘は)毎日必死にやっている結果。

▽ロッテ佐藤都(7回、津森から1号3ラン) 結果的に大きかったと、自分でも思います。投手を助けるため、僕があっぷあっぷにならないよう、余裕を持って打撃をしようと。