ロッテの4番山口航輝外野手(22)が3点を追う9回先頭で、西武増田の144キロ直球を捉えて左翼席に運んだ。今季は開幕前に7本塁打と量産し、主砲としての期待が高いが、80打席目でようやく1号。「ホッとするというか、これからもっとしっかりやっていかないといけない。球威もあるボールなら打てていない。たまたま」。チームの連勝も止まり、気分は晴れないままだった。

今季10打点は挙げているものの、打率2割6厘と自分が納得出来るスイングが出来ていないことに悩み続けている。「焦りもありますし、冷静になれていない。葛藤している部分があります。自分にイライラしてしまっている」。オンオフの切り替えも出来ず、家に帰ってからもバットを握ってしまうほど追い込まれている。

それでも、この日の3打席目で捕邪飛後、ベンチ裏で中村奨吾内野手(30)からかけられた声で、少しだけ勇気が持てた。「『打席の中で焦る気持ちがあるというのは分かる。その中でも自分を許せることが大事だぞ』って言ってもらえて、思いきり行けたと思います」。開幕から主軸を担い、4番で使い続けてくれている重圧も感じている。「こんな成績で試合に出ていることもおかしいですし、4番で使ってもらって正直逃げたい時もたくさんあるんですけれど、そんな甘いことは言っていられない。4番としての仕事、打って勝てるようにやっていきたい」。少しだけ前を向けた1発とはなった。【鎌田直秀】

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