鉄人が気合の移籍後、初アーチだ。日本ハム江越大賀外野手(30)が、ソフトバンク戦の7回、津森から左中間本塁打を放った。阪神時代の18年5月11日広島戦以来、実に5年ぶりだった。新庄剛志監督(51)から打撃の構えについて直接指導を受けたばかり。チームは3-6で敗れ、4カード連続の勝ち越しはならなかったが、意地は見せた。

骨折って何だっけ? 阪神から交換トレードで日本ハムにやってきた江越が、正真正銘の“鉄人弾”を敵地ホームランテラスに打ち込んだ。

1-6と、大敗ムード濃厚だった7回だ。1死走者なしから、ソフトバンク津森の2球目、149キロ直球を振り抜き左中間へ。開幕直前に折れた右手首は「まだ、ちょっと痛い」はずなのだが…。「ちょっと詰まったので入るとは思わなかったです」と言いながらも「真っすぐがシュートしてくる投手だったので、左中間へ引っ張りに行く。そんな感じの打球だったかなと思います」。イメージ通りだった。

5月上旬、本拠地のエスコンフィールドで、新庄監督から直接指導を受けたばかりだった。バットのヘッドが下がらないよう、グリップを握る右手の絞りを緩めるよう助言を受けた。「あまり握りすぎないようにしている。(力を入れて)握っちゃうと、右手が強くなって(手首が)返っちゃうので。軽く、言われた握り方でやっています」。意識が変わって、打撃も変化。前日10日のソフトバンク戦では2安打し、7年ぶりのマルチ安打を記録した。

移籍1号は、実に5年ぶりのアーチ。阪神時代の18年、この日と同じ5月11日。当時と同じくチームは敗れて空砲に終わった。「今日も負けちゃいましたね」と寂しげにほほ笑むと「打たない方がいいかも…」。勝ち試合でのアーチは、次戦以降に期待大。「チャンスで打てるように。前の打席で打っていれば、もう少し展開も違ったと思います」。4回2死一、二塁での見逃し三振を反省した。新庄政権初の4カード連続勝ち越しはならず。パ最速20敗も5位のまま、気持ち新たに本拠地へ戻る。【中島宙恵】