エースの意地だ! 阪神青柳晃洋投手(29)が投打の大車輪で42日ぶりの2勝目を挙げた。

粘りの投球で8回途中3失点。打っては2回に逆転の2点打を放った。3月31日の開幕戦以降白星に見放されたが、阪神の投手では1996年(平8)の川尻哲郎以来27年ぶりの勝利投手&逆転V打で大貢献。チームはDeNAとの首位攻防第1ラウンドを制して1ゲーム差に迫り、13日も勝てば同率で3週間ぶりの首位に返り咲く。

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青柳はマウンドではなく、二塁ベース上で両手を天に突き上げた。0-1の2回、2死二塁で木浪が申告敬遠され、一、二塁で迎えた第1打席。DeNA今永の低め148キロを迷わず強振した。打球は三塁線を猛スピードで突破し、同点、逆転の2者が生還。これが決勝打となり、3月31日のDeNAとの開幕戦以来、42日ぶりの勝ち星となる2勝目を勝ち取った。

「本当に久々にチームに貢献することができて、うれしく思います」

岡田監督のカツにも応えた。初回に1死二塁で、神里に中前適時打を許してあっさり先制点を献上。2回は味方守備にも助けられ追加点を阻止。その後に岡田監督から「ちょっと間合いが長いから、もっとリズムよくポンポンストライクを投げ込んでいけ」と助言を受け、3回以降はテンポアップ。3~7回は二塁を踏ませなかった。8回は連打を浴び神里を中飛に打ち取ったところでお役御免となったが、8回途中7安打3失点の粘りの投球で待望の白星を手にした。

昨季は2年連続の最多勝、最高勝率に最優秀防御率のタイトルを含め「投手3冠」に輝いた。名実ともに日本球界屈指の右腕に成長したが、今季は開幕戦の白星を最後に4試合勝ちなし。この日も3試合連続で初回に失点。「勝っていないので自信をなくしていたのかな」。だが、勝ちたい一心で弱気も封印し、2回から6イニング連続で0を並べた。

首脳陣も2週連続で中9日以上空ける措置を取るなど、エースの復活をアシストした。岡田監督は「もともとストライクをどんどん投げ込んでいくタイプやから。そういうスタイルをもう1回思い出さなあかんわな。ノイジーのアウト(2回の捕殺)がなかったらもう2回で危なかったよ、はっきり言うて」と苦笑い。それでも「青柳が自分で打ちよったからええやん」と白い歯をこぼした。

チームは2連勝で首位DeNAに1ゲーム差に迫った。貯金は今季最多タイの5つで、指揮官の監督通算600勝に王手をかけた。約1カ月ぶりの白星に右腕は「次もこういう投球を続けられたら」と引き締めた。まだまだ本調子ではない。今度はマウンドで、会心のガッツポーズを決めたい。【古財稜明】