低いライナーが正面に来た。迷う。いや、そんな時間はない。反応の世界。

「最後は球際、気持ちっていうのも2軍にいる時、熊代コーチに言われたので。良かったと思います」

つかんだ。グラブを上げる。二塁塁審の手も上がる。7回1死。センターを守る西武長谷川信哉内野手(21)が見事なファインプレーに成功し、ピンチの芽を摘んだ。

この日、1軍に戻ってきた。適時打に好守。「うれしく思います。前回、ホークス戦で2エラーして負けにつなげてしまったので。今日、たまたま相手がホークスで、やり返しできたかなと思います」と表情にも1つの達成感が浮かぶ。

7月1日のソフトバンク戦(ベルーナドーム)。長谷川が言うように、2失策を記録した。バックホームが高く浮いて本塁生還を許した場面もあった。うなだれた。それを取り返した。

松井稼頭央監督(47)もたたえた。

「守備にしても、ああいう思い切ったプレーも含めて、めちゃくちゃに思い切りやってもらいたい」

1日の2失策は判断の迷いにも起因した。打率も下降気味。かといって、その後すぐの登録抹消に切り替え、リフレッシュの意味などはなかった。

松井監督の目の色が変わった。

「(登録抹消は)リフレッシュじゃないです」

続ける。

「そういう姿でやらないといけないし、これからそういう可能性のある選手だと思う。3年やって1人前ってよく言いますけど、まだそこにも来てないわけですから。今そういう姿でやらないといつやるんだという話なので。そういう意味では今日の姿は非常に良かったと思う。もちろんミスはあると思うけども、目の色変えてやってくれる姿が一番と思います」

結果は出たが、松井監督は「自信が過信にならないように、まだまだまだまだと思って、貪欲にやってもらいたいと思います」と求めるところは高い。

2日に登録抹消し、最短の12日に1軍に戻した。その事実だけでも、球団が長谷川にかける将来の期待がいかに大きいかを、雄弁に伝えている。【金子真仁】