新井カープが、4月以来の2位に立った。ゲーム差なしで迎えた2位DeNAとの直接対決で、マット・デビッドソン内野手(32)のチーム単独トップとなる9号2ランで先制。7回に追いつかれたが、8回に敵失で2死二塁の好機をつかみ、野間峻祥外野手(30)が決勝打を放った。4連勝で今季最多の貯金8とし、首位阪神にも1ゲーム差と肉薄。勝利数では阪神を上回るリーグ最多46勝目を挙げた。

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熱戦を終えれば、勝利数でリーグトップに躍り出ていた。2夜連続の1点差勝負を勝ちきり、首位に立っていた4月17日以来の2位に浮上。阪神にもゲーム差1に迫り、勝利数で首位チームを上回った。

「昨日も今日も1点差ゲームを勝ちきっていますし、ピッチャーも野手も球際が強くなっていますし、走塁にしても何かスキがあったら突いてやるぞという、そういう意識の高さというのが全員に見て取れる。頼もしくなっている」。笑顔で、ガッツポーズでナインを鼓舞し続けた新井監督も胸を張る、一丸の勝利だ。

デビッドソンの「7月1号」で先制し、先発の野村が3試合連続無失点、無四球の好投。2点リードで前半を終えた。だが栗林、ターリーの失点で同点に追いつかれた。相手の反撃ムードが高まっていく。それを野間が押し戻した。8回、敵失で得た2死二塁の得点機。伊勢の7球目のフォークを捉え、中前へ。本塁への返球がそれる間に、二塁走者の上本が勝ち越しのホームを陥れた。

野間は「三振しないように、何とか事を起こせるように、という感じでした。いい打点になって良かった」。7回から右足がつっていた。コンディション不良もはねのけ、5日阪神戦以来9試合ぶりの打点を挙げた。

1点差の9回は守護神・矢崎が仁王立ち。2人の走者を出し、1死一、三塁で佐野、牧を迎える前に石原バッテリーコーチがマウンドへ。打者集中というベンチの意思を伝え、捕手目線で攻め方を確認した。最後は2死二、三塁まで攻め込まれたが、牧をフォークで空振り三振に。「絶対ヒットは打たれるし、点は取られると思ってマウンドに上がっている。打たれたらそこから学んで次に生かす」。強いメンタリティーが、接戦で生きた。

攻めては少ない好機をものにし、守っては6回の2失点目を中継プレーで防いだ。全員が最善を尽くしての2位浮上。虎のしっぽもつかまえる。【堀まどか】