虎の二刀流が本領を発揮した。阪神西純矢投手(21)が6回2失点の好投で4勝目を挙げた。

打っては6回に満塁走者一掃のタイムリー二塁打。1試合3打点は自己最多で、今季の得点圏打率は驚異の4割。若虎が投打で躍動し、引き分けを挟んで3連勝。夏の長期ロードは2年連続白星発進で、首位をガッチリとキープした。

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9番西純が、ポッキーカラーの新相棒で試合を決めた。1点を勝ち越した直後の6回2死満塁。「前の打席(4回1死二塁で投ゴロ)で打てずに悔しかったので、絶対に打ちたいと思いました」と、中日小笠原の高め145キロ直球を振り抜いた。打球はグングン伸び右翼手川越の頭上を越え、走者を一掃。二塁上ではベンチからの祝福に満面の笑みを浮かべ、右拳のガッツポーズを小刻みに揺らして喜びを爆発させた。

投手では3回に細川に一時同点弾を許すなど序盤に2点を失ったが、自らのバットで取り返した。「すごいうれしかった。あそこで一気に自分としては楽になりました」。自己最多3打点をたたき出し、得点圏打率は驚異の4割だ。昨季は5月18日の敵地ヤクルト戦で高橋からプロ1号の豪快な左越えソロを放ち、打撃面でも脚光を浴びた。殊勲打は今季4安打目で、通算10本目の節目に乗せた。

野手顔負けの長打を生み出したバットは、実は広島から22年にカブスに移籍した鈴木誠也モデルだった。鈴木が広島時代に使用していたアシックス社製の同型のもので、右腕は担当者に「当たって飛ぶやつ、ください」と依頼した。7月17日の中日戦から使用。同戦でも2回に中前適時打を記録し、「結構振りやすいです。このバットに変えてから三振してないです」。鈴木のバットは平均よりも1センチほど長めの86・5センチ。アシックス社の担当者は「彼(西純)の場合は力もありますし、長くて、遠心力を使えるバットを使いこなせるので」と説明。新相棒を手に持ち前のパンチ力をここぞの場面で発揮した。

本職の投手では、6回2失点の力投で今季4勝目をもぎ取った。3回までに2失点も、4回以降は気迫の投球で踏ん張ったが、「内容的にはまだまだ改善できる部分がある。しっかり今日の反省を次回以降に生かしていければ」と引き締めた。岡田監督は「3回までほんまにどうなるかなと思ったけど」と渋い表情。5回で球数は90球に達していたが、6回で代打を送らず。「そら立ち直ったからや。7回までいかそうと思ったけど、球数も100超しとったから、自分でな、3点とったから、6回でええわと思った」と明かした。

チームは14安打10得点の猛攻で1分けを挟んで3連勝。2位広島に2ゲーム差とした。西純は中日戦は昨季から3連勝で、打っては同戦で2試合連続適時打だ。「虎の二刀流」が投打で奮闘し、夏の長期ロード初陣を快勝発進に導いた。【古財稜明】

▼阪神がバンテリンドームで2桁得点を挙げたのは、97年の開場以来7度目。前回は17年8月18日の10点で、投手の秋山のプロ1号など4本塁打が飛び出した。なお最多は11得点で、03年4月22日と08年9月17日の2度。なお20年までの球場名は「ナゴヤドーム」。

【動画】虎の二刀流!西純矢ライトオーバーの走者一掃3点二塁打 右腕突き上げガッツポーズ笑顔