巨人浅野翔吾外野手(18)が新風を吹き込んだ。広島戦に「1番右翼」で先発。1回に左前打でチャンスメークし、先制点を演出すると、5回にも右前打を放ち、プロ入り初のマルチ安打をマークした。球団の高卒新人の1番でのスタメンは1959年の王貞治以来、64年ぶり。岐阜城のお膝元、長良川球場で“おっちゃんルーキー”が球団史に残る大抜てきに応え、チームの連敗を2で止めた。

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浅野のすぐ後ろには頼もしい“兄貴”がいた。1回、1番浅野が左前打で出塁。2番北村拓己内野手は犠打を試みるも決めきれず、追い込まれた。4球目、外角に逃げるツーシームをバットの先に当てた。ボテボテの三塁内野安打をヘッドスライディングでつないだ。

2月の2軍宮崎キャンプで浅野を救った。キャッチボール相手もいない新人を見かねた北村拓は「一緒にやろうや」と誘った。食事会場でも1人で寂しそうに食べているのを放ってはおけなかった。「こっちでみんなで食べようや」と輪に迎え入れた。

石川・星稜、亜大と高校、大学ともに主将を務めたリーダーシップでルーキーを救った。「自分は大卒だったけど1年目は(2軍に)1人で孤独だった。久しぶりの高卒ドラ1でプレッシャーも相当だろうし、まいっていた」と当時を自分の姿と重ね合わせて回想した。だから寄り添った。「いいやつですよ。素直だし」と北村拓。そんな先輩たちに浅野は囲まれている。【巨人担当 為田聡史】

【動画】巨人ドラ1浅野翔吾プロ初の1番右翼で先発 第1打席ヒットで出塁