今季、国内FA権を取得した日本ハム加藤貴之投手(31)が11日、エスコンフィールドで会見に臨み、FA権を行使せず残留することを宣言した。

球団側は北海道移転後では最長とみられる4年12億円(金額は推定)と破格の条件を提示。加藤貴本人も「一番育ててくれたのがファイターズだった。必要としてくれているという、そういう言葉が自分にとって一番大きかった」と誠意に応えた。

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加藤貴が来季もエスコンフィールドで腕を振るう。「正直悩みましたけど、やっぱりファイターズでプレーしたいのが1番でした。必要としてくれたので。そこが1番自分の中で、うれしかった。やって来て良かったなと思いました」と決断の理由を説明した。

8年目の今季は新球場初年度の開幕試合で先発を任され、パ・リーグ3位の163回1/3を投げ7勝9敗。チームトップの防御率2・87と、安定した数字をマークした。球団側は18年に海外FA権を行使せずに残留した中田(現巨人)の3年10億円を上回る、4年12億円の好条件を提示。代理人を通じ4度の話し合いを持った。加藤貴は「1度きりの野球人生なので、(FA権を)使って他球団の評価も聞いてみたい気持ちもあったけど、それ以上にファイターズのみなさんが必要としてくれた」。球団の熱い思いが、残留への大きな後押しになった。

ファンの声も響いた。秋季練習中、新球場に足を運んだファンから何度も「残ってほしい」と声をかけられた。「苦笑いしか出来なかった。悩んでいる時期だったので心苦しかった」。晴れて残留を宣言し「今、ほっとしている。来年も皆さんと一緒に頑張っていきたい」と前を向いた。

決断を新庄監督に伝えると「来年もよろしく」と言葉をかけられた。今季は新球場開幕戦を託されたが、白星を贈れなかった。雪辱の24年へ加藤貴は「必要とされた以上は、もっともっと先頭に立って、頑張っていこうと思います」。正確無比なコントロールにさらに磨きをかけ、8年ぶりリーグ制覇を引き寄せる。【永野高輔】

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