楽天ドラフト6位の中島大輔外野手(4年=龍谷大平安)が5打数3安打1打点。1四球も選んで5打席に出塁し、リードオフマンぶりを発揮した。

試合前「緊張で体の動きづらさを感じた」という不安を、一振りで打ち消した。初回、カウント1-2からの真っすぐを捉え、先制点に絡む中越え二塁打。2回の第2打席は2死一、二塁から左前適時打で2点目をたたき出した。「なんとしても、チームを引っ張っていかないと、という思いがありました」。第3打席の左前打の後はしぶとく四球を選んだ。

学生野球の集大成に力を注ぐ。「2部から始まり、いろんな経験をしてきた。その思いを最後の大会でぶつけたい」。中島には転機となったシーズンがある。1年秋から出場したが結果が残せず。試合後、ベンチの裏で涙した。「1年生だから仕方ないよ」。先輩の言葉に余計に悔しさを増した。

自分に何が足りないのか。「大学生になってうまく見せようとしていた。でもそれは違った。小さいころから貫いてきた泥くさく一生懸命やるのが一番かっこいい。それが自分らしさ。プライドは捨てる」。どんな打席でも、向かっていく気持ちは変わらない。チャンスに強くなった。

高校時代、原田英彦監督(63)につけられたニックネームは「ユーレイ」。どこにいるかわからない程、おとなしかった野球少年が、大学3年には不調時に積極的にチームメートに「どうすれば良くなる」と質問して回り、技術を見直すきっかけをつかんだ。「聞く耳を持つようになりました。もちろん、傷つくことも言われましたよ(笑い)。そこをグッとこらえて。人間的に変わるきっかけにもなりました」。最終学年ではチームメートの信頼厚い主将に成長した。

「4冠達成はもちろんですが、青学としても初の優勝。全員が向いている方向は同じ。日本一という気持ちは変わらないです」。大学4年間で、心技体、大きく成長した中島が、史上5校目の大学4冠へ導く。【保坂淑子】

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