鬼に金棒! たび重なる手術から復活を目指す阪神高橋遥人投手(28)が11日、新年初のブルペン投球で度肝を抜いた。自主トレが行われている鳴尾浜では新年のチーム一番乗りで捕手を座らせ、143キロを計測。2月中の実戦復帰が見込まれていることも判明した。「黄金の速球」を誇る左腕の復帰ロードは極めて順調。早期の支配下登録復帰はもちろん、強烈なジョーカーとして前半戦中からV2戦線に加わる期待も高まってきた。

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「バチーン!」。静かな球場に突如として響いた“爆音”に、何人もの関係者が振り向いた。三塁側ブルペンには、力強く左腕を振る高橋の姿があった。

新年初投げは速球ばかり25球。球団関係者の計測で最速143キロをマークしたという。「結構、思いっきり投げました」。年明けの鳴尾浜自主トレで捕手を座らせて投げたのは、手術明けの高橋が第1号だった。

投球は昨年末から再開していた。「年末より良くなっている実感もあって良かったです。ずっと強く投げているので体がなじんでくるというか、レベルが上がってきている感覚がありました」と晴れやか。「前向きになれてきたのでは」との質問には「本当にその通り。しっかり投げられるようになってきて、停滞している感じもないです」。素直に好感触を口にした。

今度こそ…だ。22年4月に左肘の腱(けん)を移植するトミー・ジョン手術。復帰を目指した昨年6月には「左尺骨短縮術」と「左肩関節鏡視下クリーニング術」を受けた。肘、肩、前腕と3カ所にメスが入り、7年目の今季はついに育成契約に切り替わった。復帰はまだ先か-。そんなイメージが確かにあった。

だが、チームは2月のキャンプ中の実戦登板を描いている。見守った江草2軍投手コーチは「めちゃくちゃいい」と目を丸くし、キャンプ中の実戦の可能性について「この感じならいけるんじゃないかな。でも焦らしてもダメだから」と興奮を抑えるように話した。9日に鳴尾浜を訪れた岡田監督もキャッチボールを一目見て、質の高さを確認していたという。

長年、故障と付き合ってきた高橋は冷静だ。「(2月に)投げられればいいけど、流れに身を任せて。あんまり目標とかは決めていない」。開幕1軍については「全然。口が裂けてもそんなこと言えないです」と笑顔で応じた。

とはいえ、2月に登板できれば早期の支配下復帰はもちろん、前半戦中の1軍先発ローテへの割り込みもイメージしたくなる。強力投手陣だけに、焦る必要は一切ないのも追い風。歴代監督がほれ抜いてきた「黄金の左」から目が離せなくなってきた。【柏原誠】

 

<阪神高橋のこれまで>

▼初勝利 17年ドラフト2位で亜大から入団し、18年4月11日の広島戦で初登板初先発。7回無失点で初登板初勝利を挙げた。その後、左肩の不調で6月半ばから2軍調整が続き、1年目は6試合で2勝3敗、防御率3・63。

▼100回超 19年は5月に1軍昇格して19試合に先発。109回2/3を投げ3勝9敗、防御率3・78。

▼出遅れ 20年は左肩のコンディション不良で2軍スタート。8月6日巨人戦で1軍復帰し、7回無失点11奪三振。同年は12試合登板ながら自己最多5勝(4敗)で防御率2・49。

▼筋挫傷 21年は2月に右脇腹の筋挫傷で離脱。復帰は9月だったが、7試合で4勝2敗、防御率1・65と快投を連発した。

▼左肘手術 21年11月に左肘のクリーニング手術。その後も状態が上がらず、22年4月にトミー・ジョン手術を受けた。23年6月には「左尺骨短縮術」および「左肩関節鏡視下クリーニング術」を受けた。2年連続で実戦登板はなかった。

▼結婚 23年11月に一般女性との結婚を発表した。

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