藤浪が来た! 剛球を見た! 阪神ドラフト1位の下村海翔投手(21=青学大)が、新人合同自主トレ第2クール初日の13日、鳴尾浜球場で藤浪晋太郎投手(29=オリオールズFA)と初対面した。阪神OBで背番号19を受け継ぐドラフト1位右腕のブルペン投球を捕手の真後ろから見学。メジャーリーガーたちもねじ伏せた剛球のすごみを間近で感じ取った。藤浪と同じ「甲子園でプロ初勝利」を目標に、甲子園球場開場100周年イヤーを彩る。

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昼食を終え、鳴尾浜のトレーニングルームで汗を流している時間帯だった。午後1時過ぎ。身長197センチのビッグマンが顔を出した。自然と背筋が伸びた。下村が虎の背番号19の先輩藤浪と初対面。「こっちで練習されてるんや」と驚いた。「プロ野球選手ってみんな大きいけど、その中でもうひとつデカかった」。174センチの新人はトレーナーに紹介され、頭を下げた。

しばらくして、バシーン! とブルペンからミットの音が聞こえてきた。同期入団の仲間と捕手の真後ろに移動し、“特等席“で先輩の球筋に見入った。「全力じゃないと思うんですけど、迫力がすごい」。圧倒された。

5球ほどの見学で収穫も持ち帰った。「手元での強さみたいなものは、あまり思い切りじゃなくても感じました。やっぱり活躍されているピッチャー。ベース上でもボールが強かったように感じました」。日本人メジャー歴代最速の約165・1キロを出し、メジャーリーガーたちも力でねじ伏せる直球は、分かっていても簡単には打てない。プロで生き抜くために、最速155キロを誇る自身も到達すべきレベルを肌で感じた。

大阪桐蔭時代に藤浪が春夏連覇を果たした決勝戦を甲子園で生観戦。西宮市出身の右腕にとって、海を渡った先輩は少年時代からスーパースターだ。入団会見では「サイズは小さくなるけど、スケールだけは負けないように」と決意表明。藤浪から背番号19を受け継ぐ自身へのエールを記事で見たことがあると明かし「自分なんかに気にかけてくださって、すごい優しい方。シンプルにうれしかったです」と笑顔。この日、直接の会話はなかったが、初対面で刺激を受けないはずがない。

藤浪はプロ1年目の13年4月14日のDeNA戦で、甲子園でプロ初勝利を挙げた。聖地が8月1日で開場100周年を迎えるメモリアルイヤーのドラフト1位は「縁だと思う。初めての登板機会が甲子園だったら、もちろん勝ちを目指してやっていきたいです」と藤浪ロードを歩む意気込み。新旧背番号19がそろい踏みした1・13が、その出発点になる。【中野椋】

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