日本ハム上原健太投手(29)が残り1枠の開幕ローテーション入りへ前進した。DeNAとの練習試合(宜野湾)で先発し、3回パーフェクト投球を披露。山崎、加藤貴という先輩左腕コンビ「さちたか」を手本にした脱力投球で結果を残した。無四球で投げ終えて自己採点は100点。さらなる進化の余地も見せながら、新庄監督ら首脳陣へのアピールに成功した。

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3回のマウンドに上がって投球練習をしていた上原に突如、大きな重圧が襲いかかった。「わざわざベンチ前から『初球、ストライクね』って言われた時はマジでプレッシャーかかりました」。声の主は新庄監督。試合中に言われたのは初めてだ。緊張感が高まった3回先頭打者への初球は、ど真ん中に見逃しストライク。「ヨシヨシ」と“新庄の壁”も乗り越え、今キャンプ初の対外試合は3回無安打無失点で終えた。

上原 今日は100点です。抑えた、とかじゃない。フォアボールを出さなかったので、100点です。

7日の紅白戦でも2回無安打無失点だったが、1四球を与えて自己採点は0点だった。この日は30球を投げてボール球は10球。3ボールもなく、昨季から意識し、自分で設定し続ける“上原の壁”も乗り越えての満点アピール投球だった。

結果を残した上で、新たな挑戦もしていた。テーマは制球重視の脱力投法。ヒントは先輩左腕コンビ“さちたか”から得た。「コントロールのいい加藤さん、サチさん(山崎)がいて、いい見本なので、2人のピッチングからイメージをつくって、ちょっと試した」。力感のないフォームからストライク先行で打者を手玉に取る加藤貴、山崎の投球スタイルを実践。手応えは大きかった。

上原 真っすぐは速くないし、コースもビタビタに決まっていないのに、あれだけ気持ちよく打ち損じてくれたり、打ちにくそうにしてくれたりというのが、意外とあった。

この日の最速は142キロながら、ストライクゾーン内の勝負で凡打を積み重ねられた。チャレンジ成功で「これから確立できたら」と投球の幅を広げる経験値を得た内容も結果も抜群。群雄割拠の開幕ローテ残り1枠の争いの中で、頭1つ抜け出しそうな快投だった。【木下大輔】

▽日本ハム新庄監督(上原に)「よかったね。フォアボールもないし。マウンド近くで『初球ストライク』(と言ったら)『わかりました』と。バッターは初球をボヤーッとした感じで待つから。初球から変な球を打ったらイメージも悪いし、初球のチェンジアップは手を出さない。あれを初球から投げてくれたら、すごく俺はめちゃくちゃうれしい」

【練習試合】DeNA-日本ハム 万波2点適時打 度会は2打席凡退/詳細