“石神様”が止まらない。DeNAドラフト4位の石上泰輝内野手(22=東洋大)が「5番二塁」でオープン戦初スタメン。中前打と左前に落とすポテンヒットでリズムをつかみ、5回無死一、三塁からは三塁へのラッキーな内野安打で猛打賞を達成した。先頭の8回では強烈な左前打で4打数4安打。紅白戦を含めた実戦10試合で打率4割3分3厘、オープン戦に限れば打率7割1分4厘の猛アピールで、開幕1軍に近づいた。

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石上が強く振り切った。4回無死一塁、ソフトバンク古川の内角高めに刺された。詰まったが、最後まで押し込んだ。フラフラと上がった打球は左前にポトリ。「追い込まれるまではしっかり振った中で、という考えはある。そこが結果につながったかな」とうなずいた。

5回無死一、三塁からはバットの先に当たって三塁前へ、セーフティーバントのような打球が転がった。50メートル5秒9の俊足を飛ばし内野安打で猛打賞。先頭の8回は左前打で仕上げ、4安打の固め打ちだ。三浦監督からも「いろんな可能性を感じさせてくれる選手。しっかり振れている。走塁、足も楽しみだね」と期待をかけられた。

守備に課題は残しながらも、圧倒的な馬力の攻撃力でアピールを続ける。ベンチプレスはチームトップクラスの140キロを上げ、肩幅はがっちり。パワフルなランニング姿に同僚からは「筋肉で走ってる」と言われる。強く振れる思い切りも魅力で、この日のラッキーヒット2本につなげた。験担ぎなどはするタイプではないが「打撃練習からしっかり振ると心がけてやっている。それができているなと思います」と喜んだ。

ただ、満足はできない。同期たちの存在に静かに闘志を燃やす。同1位の度会、同2位の松本凌が結果でアピールしており「2人とも注目される中で結果を出しているので、素直にすごいなと。自分も食らいついて結果を出していけたら」と刺激を受ける。「1試合1試合大事にアピールしていきたい」。寡黙な“石神様”が目標の開幕1軍へ突き進む。【小早川宗一郎】

◆石上泰輝(いしかみ・たいき)2001年(平13)5月18日生まれ、徳島県鳴門市出身。小2で野球を始め、徳島商では1年夏からベンチ入りも、甲子園出場経験はなし。東洋大でも1年秋にベンチ入りするなど、早くから主力として台頭した。50メートル5秒9の俊足と遠投120メートルの強肩が持ち味。172センチ、85キロ。右投げ左打ち。