内容も結果も“最高~き”な快投を披露した。3年目の日本ハム北山亘基(こうき)投手(24)が、今季初登板で6回1/3 2安打1失点、自己最多10奪三振の好投で、今季本拠地初勝利を呼び込んだ。2回1死から5連続三振を記録するなど快調に飛ばし、7回1死まで完全投球。野球ノートには、自身の名前にちなみ「勝って“さいこ~き”と言う」と目標をつづってマウンドに立ち、お立ち台で有言実行した。

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24年最初の本拠地お立ち台で、北山の雄たけびがこだました。この日の投球について問われると「僕の下の名前はこうき(亘基)っていうんですけど」と、まずは前振り。軽く息を整えると「きょうは勝てて、さいこ~きで~す!」と声を張り上げた。2万7042人の観衆から大きな拍手と歓声を浴びると、うれしそうに、ほほ笑んだ。

立ち上がりから完璧だった。初回に先頭の茂木、2番小深田を、いずれもこの日最速の154キロ直球で連続空振り三振に切って取ると、2回2死から5者連続三振。「強みはまっすぐ。それで空振り取れましたし、差し込むことができた」。5回無死では、昨季本塁打王の浅村を148キロのストレートで見逃し三振、6回1死では石原から2ケタ10個目の三振を奪った。

開幕ローテ最後の5枠目に、ぎりぎり滑り込んだ投手が、快投を披露。北山とのじゃんけんで開幕ローテを決めた新庄監督は「良かった、じゃんけん負けて(笑い)。申し訳ないけど、こんな良いピッチングをすると思っていなかったです。テンポの良さとボールの切れ。安心して見ていられました」と喜んだ。

完全試合を期待するファンの後押しも力になった。「5回ぐらいからファンの声援が不自然な感じに。2ボールぐらいで拍手だったり、空振りとったら今までにない拍手があったり」と苦笑い。加えて「ずっと後押しされているような。今までにない経験で、ありがたかった」と感謝した。

結果的に大記録は逃したが、第一目標はそこではなかった。前日、野球ノートには「明日、さいこ~きって言う」と、つづった。お立ち台で有言実行し「それがかなった。ファンの人が喜んでもらえるようなフレーズになれば。そのときはチームも強くなると思うので」。次は9回投げきれる体力をつけ、完全無欠の“さいこ~き”を目指す。【永野高輔】

▽日本ハム田宮(北山を好リード。打撃では2安打)「北山さんは真っすぐがいいので、うまく変化球を使って投げられるように意識してリードしていました」

○…松本剛が今季初の3安打猛打賞&初盗塁をマークし、快勝に貢献した。1回は「まだ1打席目に安打が出ていなかったので1本欲しいなと思っていた」と6球粘って右前打。3回は8球粘って安打を放ち、5回の左前打は「僕がつなげば、マンチュウ(万波)がなんとかしてくれて点が入るだろうなっていう感じがすごくあった」と予感も的中。乗ってきた選手会長は打率も3割3分3厘まで浮上させた。