満弾どすこい2発! 西武からFA加入した山川穂高内野手(32)が、プロ野球史上2人目、パ・リーグでは史上初となる2打席連続満塁本塁打を放った。6回、8回といずれも一振りで走者を一掃。前日12日に昨年までの本拠地・ベルーナドームで大ブーイングを浴びた男が、おなじみの「どすこいポーズ」を2度も披露した。チームは3連勝でパの貯金を独占。4年ぶりのリーグ優勝に向けて視界良好だ。

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離れ業だった。6回1死満塁、そして8回無死満塁。山川が一振りで全走者をホームにかえした。2打席連続グランドスラム。06年の巨人二岡以来2人目、パに限ると山川が初の快挙だった。

「本当にたまたまです。僕だけでは満塁ホームランは打てないので。明日以降もそういう試合っていっぱいあると思う。謙虚にやっていきたい」。タカの4番がついに目覚めた。

迷いはなかった。西武からFA加入した山川が、ベルーナドームで「どすこ~い」と叫ぶ。昨年までの本拠地。前日はスタメン発表時や打席に立つたび、大ブーイングを受けた。この日も「どすこい」を披露した瞬間、そこまで静かだったスタンドからブーイングが起きた。それでも“ルーティン”を欠かさなかったのは、ホークス山川としての使命だった。

ロッカールームで柳田や甲斐ら同僚から「ホームラン打ったらやってね」と背中を押された。山川は「どうしようかなって思ってる部分もあるんですけど」と複雑な心境を明かしつつ「やっぱり求められたり、一緒に戦っていくチームメートと盛り上がっていく1つの方法。チーム、みんなの思いなので」とパフォーマンス続行を決断した。「普通に打ったらやるもんだっていうので僕はいいのかなって思います」。自然体を貫く強心臓ぶりを見せた。だが2本目では、さすがにちゅうちょ。「2本目は本当に、本当に迷いましたけど、小さめで」と小さく「どすこいポーズ」をした。

山川の満塁本塁打は19年3月29日、ソフトバンクとの開幕戦以来5年ぶり。当地での本塁打は22年10月1日のソフトバンク戦以来、2年ぶりだった。特に2年前の「10・1」は、優勝マジック「1」としていたソフトバンクを泣かせたサヨナラ弾。その1発で、オリックスに優勝をさらわれた。あれから560日後、今度はソフトバンクファンを歓喜で沸かせた。

山川にとっては通算220、221本目のアーチ。チームを3連勝に導き、ソフトバンクがパの貯金を独占した。強いホークスの4番に、山川穂高がいる。【只松憲】

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