青学大の21年甲子園V投手・中西聖輝投手(3年=智弁和歌山)がリーグ戦初先発初勝利を飾った。チームは今季、開幕から6連勝で勝ち点を3に伸ばした。

スピードではなく球の質にこだわった。最速152キロは封印。140キロ前半のアベレージで、真っすぐ、フォーク、スライダーで緩急をつけ7回を4安打無失点。「今日は全球種、よかったです」と、手応えをつかんだ。

第1戦終了後、帰りのバスの中で先発を告げられた。「やっと来たか」。入学からここまで、中継ぎで5試合に登板。やっと巡ってきたチャンスに、気持ちが高ぶる。「結果を出してアピールするにはここしかないと、腹をくくった」。好投手がそろうの青学大で生き残る厳しさを十分感じた2年間。成長をマウンドにぶつける覚悟を決めた。

21年の夏の甲子園優勝から、約3年。周囲の期待は痛いほど感じていた。「監督の期待がすっごい大きいので(笑い)。それに僕の技量が追い付かなかった」。最速152キロより、回転数や回転軸と、球の質を追求した。今冬は初めて、100球、120球と投げ込みに取り組み「体力的には103球は余裕でした」と、先発の力も身に付けた。「やっと(期待に)応えられました」と笑顔を見せた。

神宮のマウンドで輝いた。「(甲子園優勝と)違う喜びというか…正直言って今日の方が全然うれしかった。いい経験になりました」。中西の大学野球が、幕を開けた。