<ロッテ2-7オリックス>◇7日◇QVCマリン

 オリックス岡田彰布監督(53)が史上28人目の監督通算500勝を達成した。2回の4点先制から最後まで主導権を握り、登板2日前にブルペンで自らフォーム指導したフィガロが2カ月ぶりの6勝目。投打かがみあった。

 「関係ないよ。あんまり考えてへんかった。オリックスきて400勝なって、500勝なって。まあ積み重ねやなあ。これから当分忘れるよ」

 口は素っ気ない岡田節でも岸田から受け取った記念球を右手でわしづかみした。前日6日は今季5度目の引き分けでお預け。この日は「400勝も球場で見ましたよ」という“福男”の長男陽集さん(26)も駆けつけて、節目を後押しした。

 昨年は終盤に大失速し5位。岡田監督は回顧する。

 「力の差でなく、当たり前のことをできなかった差。借金30のチームに染みついたものを1年で取り除き、変えるのはしんどい。良くなったと思えば、思いだしたようにミスが出る。でも選手は変わりつつある。2年目は楽しみあるよ」

 就任2年目も借金10から貯金3、そして今も借金6。未熟なチームは安定しない。阪神5年間で393勝。常勝軍団では優勝1回、2位2回、3位1回と白星の重みが違う。しかし「やることなくなってまうやん」と強きを率いるより弱きを強くする道に喜びを感じる。受験勉強で社会は丸暗記優先の歴史より「自分で考え探りたいから」と周りが敬遠した政経・倫理を好んだ当時と変わらない。

 本来は怒りまくる激情型ではなく頭の奥底でコンピューターを働かせ、細かく策を練る知将タイプ。新幹線の車両の差からイースタン・リーグの先発ローテまで幅広い観察力と深い探究心も光る。500勝は通過点。1カ月ぶりのカード勝ち越しで4位浮上。ここからの巻き返し方もすでに計算中だ。【押谷謙爾】