WBA世界バンタム級4位比嘉大吾(29=志成)は王座奪取とはならなかった。同級王者の堤聖也(29=角海老宝石)に挑戦し、判定の末に3人の審判がいずれも114-114と判定してドロー。WBC世界フライ級王座に続く世界2階級制覇は逃した。高山勝成が持つ5年11カ月の国内最長ブランク記録更新はならなかったが、見応えたっぷりの攻防を繰り広げた。

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試合後の会見場で、比嘉は開口一番こう語った。「(試合内容を)覚えておりません。記憶が飛んでいますね」。9回、左フック相手を倒したが、すかさず堤にダウンを奪い返された。その後も連打を浴びたがゴングに救われた。同ラウンド終了直後、野木トレーナーに尋ねた。「野木さん、やばいです。自分はいまどこにいますか。誰と試合していますか」。記憶が飛んでも本能で戦い続けた。約7年ぶりのチャンピオンベルトには手が届かなかったが、充実した表情を浮かべた。

昨年9月、WBO世界同級王者武居由樹(大橋)に挑戦。僅差で判定負けとなったとはいえ熱戦を繰り広げた。満足感から一時は現役引退を決意したが、同11月に王座奪取した堤への挑戦オファーが届いた。1週間熟考して現役続行を決めた。

アマ時代から親交のある堤とは4度目の対戦。同じ95年度生まれの同級生に対してアマ時代は2戦2敗、プロ初対決となった20年10月のノンタイトル戦はドローだった。約4年半ぶりの再戦、ボクシング人生のすべてをかける思いでぶつかった。

王者返り咲きとはならなかったが、全力を出し尽くした。今後の進退について話題が及ぶと「いやあ、もういいかなと思いますね。今日の試合を覚えていないので、悔しいとかはない。やめるやめる詐欺になってしまう。もうこれ以上、頭を打たれたくない。ただでさえ頭が悪いんで」。冗談めかしつつも、率直な思いを口にした。【奥岡幹浩】

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