大関経験者で東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)が、662日ぶりの幕内土俵を白星で飾った。

横綱照ノ富士が休場し、初日の幕内出場力士が奇数(41人)となったため、東前頭17枚目の水戸龍(28=錦戸)と対戦。相四つの相手に、立ち合いですぐに右を差すと下手を引き、左上手は取れなかったが圧力をかけて寄り切った。「幕内土俵で緊張しましたけど、しこ名を呼び上げられた時に、たくさんの(応援)タオルや声援が力になった。相撲内容は悪かったけど勝ててよかった」と、喜びをかみしめた。

新型コロナウイルスのガイドライン違反で、6場所休場する以前の大関時代、21年5月19日、春場所11日目に勝った隆の勝戦以来の幕内土俵だった。取組前は、母校近大から贈られた化粧まわしを着け、西の十両土俵入りで最後に土俵に立った。「去年は謹慎中で出られなかった。出場できることがうれしい。しっかり土俵の上で戦う姿、白星を届けていきたい。大阪なので、第2の故郷、4年間過ごした近大もありますし(化粧まわしを)着けようと考えていました」と、今場所に懸ける思いの強さを打ち明けた。

1月の初場所は14勝1敗で、初の十両優勝を果たした。今場所での再入幕の可能性もあったが、幕内の枠は4つ。他に成績優秀者がいて5番手扱いで、東十両筆頭止まりとなった。それでも場所前に「戻れなくてもやることは変わらない。年内に三役に戻りたい」と、2場所連続の十両優勝で、来場所は中位での再入幕を目指す決意を語っていた。

今場所前には霧馬山、若隆景、若元春の3関脇が出稽古で高砂部屋を訪れた。番付こそ現在は朝乃山の方が下だが、3人の次期大関候補を圧倒。「久々に幕内の人たちと相撲が取れて、いい稽古ができています」と感謝しつつ、順調に調整を進めてきた。この日の取組後も「将来が大事になってくると思いますので、今場所に限らず、来場所とかにつながってくると思います」と、収穫の大きさを強調していた。

この日の取組は「水戸龍関は自分より一回り大きい相手で、体重も重たいですし、しっかり踏み込んで、圧力に負けないように、下から攻める気持ちでいったんですけど、左手がバンザイになったので、そこがまだ課題ですね」と、納得はできなかった。それでも白星を重ね、2場所連続の十両優勝へ好発進。ただ、当の本人は先場所の十両優勝は「過去のこと。着実に番付を上げるのみです」と、あくまで通過点という意識だ。今月1日に29歳となったが「(38歳の)玉鷲関の衰えない相撲も見ているし、自分もまだまだ若い。まだまだやれると思う」と力説。さらなる成長を見せ続ける思いの強さをのぞかせた。