新横綱の豊昇龍(25=立浪)が、初めて金星を配給した。西前頭2枚目の千代翔馬に、立ち合いで変化されると後手に回り、寄り切られた。初日の小結阿炎戦に続く黒星を喫し、3勝2敗。この日で全勝が不在となり、優勝争いのトップに並ぶチャンスを逃した格好だ。
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土俵外で両手を腰に当てて、豊昇龍は唇をかんだ。観客席からは、無数の座布団が投げ込まれ、舞っていた。叔父の元横綱朝青龍も新横綱場所で味わった金星配給の苦い経験。土俵を降りると、険しい表情のまま花道を引き揚げた。だが支度部屋では一転、報道陣に「いいよ」と目配せし、質問を受けた。悔しい黒星後は、付け人を介して取材を断り、無言が多かった大関時代とは違う対応だった。
豊昇龍 頭に変化のことはなかったので悔しい。組み止めて、まわしを取って自分らしい相撲を、と思っていた。まさか立ち合いでそう来るとは…。勉強になった。これも1つの経験。
立ち合いで千代翔馬に右に動かれた。背後を取られても、とっさに差した左で組み止めようとした。だがすでに土俵際。相手に左を差されて土俵を割った。
ひとしきり取材に対応したが、負けず嫌いの本音は隠せなかった。報道陣に対して、さらに話し始めた。
豊昇龍 横綱に変化するんだ。変化を食ったオレが悪いんだけど…。まさか変化はないよね。横綱に変化する人を見たことがない。負けられないのは、ちょっと難しい。まあ、しょうがない。気にしない。調子は悪くない。これからだ!
自らに言い聞かせた。最後に「いろいろ言われそうだけど…」。元朝青龍からの苦言を予想し、苦笑いで引き揚げた。【高田文太】

