幕内経験者の人気力士で、東幕下4枚目の炎鵬(31=伊勢ケ浜)が、4場所連続の勝ち越しに王手をかけた。東幕下筆頭の日向丸と昨年春場所以来、1年ぶり2度目の顔合わせを、前回対戦に続き制した。立ち合いは右から張って、相手の懐に潜り込んだ。もろ差しになり、振り回されても、突き放されそうになっても、しぶとく体を密着させ、最後は押し出した。連敗せずに3勝1敗。幕下5枚目以内が勝ち越せば権利を得る、十両昇進に近づいた。

取組後は「気持ちだけで取りました。自分が今日、できることを、力を出し切ることだけを考えました」と、呼吸を整えながら冷静な口調で振り返った。立ち合いの右からの張り手は「自然と出ました」という。続けて「必死にやっているだけ。勝ち方にこだわっている余裕はない」と力説。もともとレパートリー豊富な技を駆使して白星を重ねている。

今場所は連勝発進したが、5日目の三番相撲で大花竜に敗れた。その三番相撲は「流れがあまり良くなかった」と、取組後に話した通り、立ち合いから見せ場はなかった。ただ先場所の六番相撲で2カ所骨折していた、左足首は「大丈夫。次は負けない相撲を取りたい」と力説。骨折の影響で、今場所前は相撲を取る稽古をほとんどできなかったが、言い訳せずに巻き返しを誓っていた。この日の取組後も、左足首については「大丈夫。頑張ってくれている」と話し、笑顔を見せた。

今場所は午後10時30分から同11時ごろには就寝し、午前6時30分にセットするアラームが鳴る前に起床することが多いという。「寝るのは、部屋で1番早いかもしれません。おじいちゃんみたいな生活(笑い)。でも、朝の目覚めが大事だと思うので、いいと思う」と、十分睡眠を取ることができていると説明。大けがを負って以降も完治はしていない、首の状態が良いことの裏返しでもある。

さらに、当初は部屋宿舎に体重計がなく不明だった体重も、前日に計る機会があり「ほとんど変わらなかった」と、自己最重量109キロだった先場所と同等の108キロだったという。「お米ばかり、炭水化物ばかり食べてますよ」と、体重維持にも努めてきた。

3年ぶりの関取復帰には、十両下位や幕下上位といった、他の力士の成績が大きく影響する。現実的には今場所で5、6勝は必要な状況となるかもしれない。ただ、自身の新十両昇進は東幕下6枚目の4勝でつかんだ。勝ち越してさえいれば、十両再昇進の可能性はある。首の大けがで7場所連続休場と長期離脱し、序ノ口から再起するなど、167センチの小さな体は満身創痍(そうい)。それでも今場所前に語っていた。「まだまだ心は燃えている。人生懸けてやるしかない」。まずは勝ち越し、その先に、さらなる白星の上積みを目指していく。【高田文太】