NHKは20日、東京・渋谷の同局で、19年度前期の連続テレビ小説の発表会見を行った。61年のスタート以来節目の100作目となり、ヒロインに女優広瀬すず(19)が決まったと発表した。作品名は「夏空」。戦後の北海道と日本アニメ草創期を舞台に、アニメーターを目指して奮闘する女性を描く。広瀬は「プレッシャーを感じています」としながら「新しい風を吹かせたい」と意気込みを示した。

 会見場に姿を見せた広瀬は当初、緊張した面持ちだったが、「100回という大きな数字に、いろんな方に『100作目だから』と言われ、ちゃんとプレッシャーを感じています。私に手を差し伸べてくれる方の手を握って、裏切らないように、新しい風を吹かせるように頑張ります」と堂々とあいさつした。

 ヒロイン決定は前日19日に聞いたという。「えっ、という気持ちの方が大きくて、作品の話も全部、左から右に流れていきました」と驚いた様子も紹介した。また、朝ドラは「憧れの存在でもあり、いまだに実感がありません。今は楽しみと思えるほど時間もたっていなくて、どんな感じに自分はなっていくのかと、想像がついていないです」と素直な心境を明かした。

 これまでの朝ドラで印象的な作品を問われた広瀬は、保育園時代に見ていた03年「てるてる家族」を挙げた。「(主演の)石原さとみさんが演じていた『ふゆちゃん』のモノマネをやっていました。保育園の頃に見ていた朝の日常の1コマに私が入るのが少し不思議な感覚。みなさんにとっても、そんな存在になれればいい」と語った。

 約1年半の長丁場の仕事には「体力だけは自信があって、8年間やってきたバスケットや仕事で鍛えられたことがかなりある」と意気込んだ。

 NHKの磯智明チーフプロデューサー(51)は、広瀬の起用理由を卓越した演技力とし、オーディションではなくキャスティングで決めたと説明した。放送開始1年5カ月前という異例の早さでの発表。18年度後期「まんぷく」のヒロインさえ未発表だ。磯氏は、NHKが働き方改革を進めていることで、制作スパンを長くとると説明し、通常より約4カ月早く来夏にクランクインする。

 ◆「夏空」 戦後の復興期、北海道の開拓移民の養女として引き取られたヒロインが、盛んになり始めたアニメーション制作を志し、上京してアニメーターを目指す。日本アニメ草創期の女性アニメーターの活躍を描くオリジナル作品。開拓者精神を身につけ、前向きに進んでいくヒロイン奥原なつを描く。脚本は、03年後期朝ドラ「てるてる家族」を手掛けた大森寿美男氏。