岡田准一(37)は以前、日刊スポーツのインタビュー取材で、独特の「理想の父親像」を明かしている。

 当時24歳だった。TBS系連続ドラマ「タイガー&ドラゴン」が放送中で、是枝裕和監督(55)の新作映画「花よりもなほ」の撮影開始直前という時期。ジャニーズアイドルとしてはもちろん、俳優として高い評価を得始めた頃だった。いつか結婚した時、どんな家庭を作りたいかと聞くと、自分なりの「理想の父親像」を語った。

 「自分の子どもに『お父さんは、20代の頃、とても格好良くて、輝いていたんだよ』と言うような父親には、なりたくないんです。子どもに向かって『おまえがいるから、お父さんは、今とても幸せなんだ』と言える父親でいたい」

 岡田は「父親」に対する特別な思いがある。小学校2年生の時に両親が離婚した。以来、母親のもとで育った。ピアノの先生だった母親の仕事が遅くなることもあって、寂しい思いもした。母親が応募した番組オーディションに合格し、その後、ジャニーズ事務所のレッスンに通うようになった。最初は乗り気ではなかったが、母親に以前言われた言葉が背中を押した。

 「私は年をとっても、あなたに面倒をみてもらうつもりはありません。だから、あなたも、1人できちんと生きていける男になりなさい」

 父親不在という環境の中で説かれた男としての生き方。この言葉を胸に刻み、レッスンに明け暮れた。V6メンバーに抜てきされ、めまぐるしい毎日が始まったが、常に気になることがあった。「父親が突然、自分の目の前からいなくなったこともあって、乗り越えるべき存在、理想の大人像が自分にはなかった。だから自分で見つけなきゃと思ったんです」

 手当たり次第に本を読みあさり、映画も大量に見るようになった。20歳になった頃、理想の大人探しは終わった。「自分はこうありたいと考えなくなった。決めつけないで自由でいい。意識が変わってきた」。

 そうしてたどり着いた「理想」がある。

 「昔でも未来でもなく、今が自分は一番幸せなんだと胸を張っていえる人間でいたい。自分がどうありたいかではなく、どう生きているのか、それでいいんだと思いました。そういう自分でいるためにも、家族は絶対に作りたい。父親にもなりたいんです」

 その後、出会った宮崎あおい(32)と結婚を決意した背景には、岡田が胸にしまってきた「理想」があった。