香川・琴平町にある江戸時代から続く芝居小屋「金丸座」の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が今年も4月に行われます。今年で34回目となり、連日満員となる人気興行です。先日、その記者会見があったのですが、出席した中村梅玉、中村芝翫、中村橋之助、中村福之助も琴平での滞在を楽しみにしていました。

 歌舞伎は地方巡業もあるのですが、それは1日公演を行うと、翌日は移動日となり、ゆっくりと観光気分に浸れないのです。その点、こんぴら歌舞伎は4月7日から22日まで2週間以上の滞在となり、終演も夜6時ごろと、ゆっくりできるのです。最近は温泉もわき、宿泊する旅館で温泉に入って、瀬戸内海のおいしいものを食べられると、歌舞伎俳優の間でも人気の公演地になっています。

 19年ぶりの出演となる芝翫は「おいしい店がいっぱいあるので、いろいろと回りたい」と言えば、初出演となる橋之助、福之助は「琴平といえば、金刀比羅宮(ことひらぐう)。階段で上がるのは大変と聞いているけれど、頑張って奥社までの1363段に挑戦したい」と力強く宣言しました。

 一方、4年ぶりの出演という梅玉は意外な趣味を明かしました。「ここでの楽しみは琴電(琴平電鉄)に乗ること。途中まで行って、引き返してきます。車窓に広がる田園風景をのんびりと見ているだけで、楽しくなってくる。そして、温泉に入るのもいいですね」。71歳の大御所、梅玉が「乗り鉄」とは知りませんでした。