新型コロナウイルスの感染拡大を受け、不要不急の外出の自粛などを強いられる困難、不安をどう乗り切るか。著名人に前向きに生きるためのヒントを寄せてもらう連載「明日のために」。今回は、お笑いトリオ安田大サーカスの団長安田(45)です。テレワークなどで自宅で過ごす時間が増えた今、子供と楽しく前向きに過ごす方法を教えてくれました。

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現状を言うと、日に日にお仕事がなくなっています。コロナ騒動の最初にドンッとなくなり、残っていたロケも緊急事態宣言が発令されてなくなりました。大阪のeo光テレビ「ゲツ→キン」の火曜日MCをやらせていただいていますが、7日の生放送は東京の自宅から“テレワーク出演”。初めての経験で、仕事の形自体が変わっていくのか、とも感じましたけど番組は当面、休止となりました。

最初は精神的につらい部分、不安もあったからか、妻(タレントの安田さち)と1回大げんかをしました。プチトマトのパックを投げたら、散弾銃のようにトマトが飛んで、壁に当たったり、10日くらいたってから玄関で見つかったり。夫婦げんかでプチトマト、投げちゃダメですよ(苦笑い)。小学4年と2年の娘も臨時休校が続いたからか、姉妹げんかが増えました。

でも、人生でこんなに休みが出来たことも、家にいられることもないので楽しむしかない、逆に今しか出来ないことをやろうと家で出来ることをやっています。子供の宿題を横でみたり、ボードゲームをやったり、朝ご飯作ったり。仕事で遅く帰ると、しんどくてなかなか出来ないですから。

娘を実家に連れて行こうと思ったのですが(祖父母に)感染のリスクがあるのでうちで楽しんでおこうとベランダを使った遊びもしました。卓球のセットを置いたり、キャンプしようとテントを張り、バーベキューもしました。僕はベッドで寝たかったんですが、娘は楽しかったみたいです。

今は感染が拡大しないよう、1人1人が出来ることをやることだと思います。僕はYouTubeの視聴者ファンディングを使って、募金を集めるライブ配信を始めて毎晩やっています。頑張りましょうという声も聞かれますけど、阪神大震災を経験した身から言わせてもらえれば、人間の頑張りが続くのは、せいぜい1カ月。いつまで頑張ればいいか分からないものに、頑張れと言うのは無責任。頑張りすぎないことも大事だと思います。僕だけではない、あなただけでもない、みんな不安なんやから、一緒やで…という気持ちが、大事だと思いますね。(構成・村上幸将)

◆団長安田(だんちょう・やすだ=本名・安田裕己)1974年(昭49)4月26日、兵庫県西宮市生まれ。サッカー選手が目標で鳥取城北高にスポーツ推薦で進学。卒業後、95年に阪神・淡路大震災で被災。亡くなった親友が勧めた、お笑い芸人を目指し96年に松竹芸能の養成所に入所。アイドル志望のクロちゃん、大相撲の元力士のHIROと01年に安田大サーカス結成。テレビ番組の景品がきっかけで自転車にはまり、レースにも出場。ドラマ「半沢直樹」で香川照之が演じた大和田常務の土下座のマネも話題に。