氷川きよしは純粋で、正直である。00年2月に「箱根八里の半次郎」でデビューし、瞬く間に人気者となった。「演歌の貴公子」として歌謡界に新風を巻き起こした。順風満帆だったが、しばらくして関係者にこう話すようになった。「普通の人だといろんな勉強をしながら大人になって行く。普通の人が知っていることを、知りたい。少しでも勉強がしたい」。
不惑(40歳)を迎えた直後にインタビューした。「僕はマンネリ化が、現状維持が好きじゃない。やってみないと分からないこともある。それがダメでもいい。とりあえず、これからも新しいことに挑戦して、現状維持ではなく、向上しようという好奇心は持ち続けたい。未知なる扉を開けるのが好きなんです」。
喜劇王チャールズ・チャプリンの「人生はクローズアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見ると喜劇だ」という言葉に心が動いたとも話した。「苦しい時もうまくいかない時もあります。褒めていただく言葉もあれば、いろんな批判も受けます。そんな時、振り回されるのではなく、自分の中で確固たる考えを持っていたい。トータルで見たら笑顔でいられるような歌手人生を歩みたい」。自分を見詰め直して、新たな扉を開ける新生・氷川きよしが楽しみである。【笹森文彦】



