歌舞伎俳優市川猿之助(47)が両親とともに自宅で倒れ、両親が亡くなったことについて、猿之助が「死んで生まれ変わろうと家族で話し、両親が睡眠薬を飲んだ」と話していることが20日、分かった。また、母が父を介護する老々介護の状態だったことも明らかになった。休演していた東京・明治座の昼の部公演は、市川團子(19)の代役主演で再開した。

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元東京地検特捜部副部長・若狭勝弁護士は20日、猿之助が家族会議をしたという趣旨の説明をしていることから「両親の自殺に全く関与していないとは考えづらく、なんらかの罪に問われる可能性は高い」と解説した。

若狭氏は「一番のポイントは家族会議を行った際、両親の自殺願望の有無」だという。「話し合いで両親に気持ちがない、もしくはうそをついていたという場合には殺人罪に当たる」とした。続けて「家族会議の中で両親にも気持ちがあり、それを猿之助さんが手助けした場合は自殺ほう助罪、もしくは同意殺人罪と判断される」と示した。

今回のケースにおいては両親の死因が向精神薬中毒の疑いだと分かったことなどから「両親から殺害を懇願されたというよりも、両親へ薬物を調達する、薬物や水を飲ませるなどの手助けをしたと考える方が妥当なため、自殺ほう助罪と判断される可能性が高い」と解説した。また、猿之助が後追いをした場合も刑罰は変わらないという。

今後の捜査について「家族会議で誰がそういう行為をすると言ったのか、また話し合いの後に、両親が何らかの薬物を飲むために、猿之助さんがどのような行動を取ったのか」がポイントになるとした。

◆自殺関与罪と殺人罪 刑法202条には「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する」とある。亡くなった人に自殺の意思があり、それを手助けした場合には、この自殺関与罪に問われる可能性がある。また、亡くなった人に自殺の意思がなかった場合に、死に至らしめるようなことをした場合は殺人罪となり、刑法199条により「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と量刑が重くなる。

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