東宝は18日、14日に全国441館で公開された宮崎駿監督(82)の10年ぶりの新作長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」が、17日までの4日間で興行収入(興収)21億4000万円、動員135万人を記録したと発表した。

22年12月13日に都内で開かれた、東宝の23年ラインアップ発表会見で公開が発表されて以後、あらすじ、声優キャストなど作品に関する情報は一切、開示されず、製作報告会見なども公開初日まで一切、開かれず、宣伝活動は、ほぼ行わなかった中、興収120億2000万円を記録した、13年7月公開の同監督の前作「風立ちぬ」との興収対比で150%超を記録。日本の歴代興収で2位の316億8000万円を記録した、01年の「千と千尋の神隠し」初動4日間の、19億5437万6300万円をも超えた。

宮崎監督は「風立ちぬ」公開後の13年9月に都内で会見を開き「次の作品を考え始めると5年じゃ済まない。7年かかると80歳になってしまう。僕の時代は、はっきり終わった」と長編製作からの引退を発表。ただ、16年7月に鈴木敏夫プロデューサー(74)に企画書を渡して新作長編製作の準備に入った。17年5月には「『引退撤回』を決断し、長編アニメーション映画の制作を決めました。年齢的には、今度こそ、本当に最後の監督作品になるでしょう」とスタッフを公募。同年10月には、都内の早大で故半藤一利さんと対談した際「題名をそのまま勝手にもらって、しかも本が映画の中で主人公にとって意味のあるものになる」と、一部の情報のみ自ら“暴露”した。東宝のラインアップ発表時には、宮崎監督が少年時代に読んで感動した吉野源三郎の同名小説にインスパイアされ、題名を借りて新たにオリジナルの物語を生み出したことと宮崎監督直筆のキャラクターが描かれたビジュアルのみ明かされた。

鈴木プロデューサーは、22年12月に都内で行われたイベントで、作品の詳細を明かさずに公開後ヒットした「THE FIRST SLAM DUNK」を参考に「スラムダンク方式で行く」と宣伝方針を打ち出した。公開2週間前の6月28日に都内で行われた「金曜ロードショーとジブリ展」開会式でも「情報の時代に情報がないことがエンターテインメントになる。うまくいくか分からないが信じてやる」と宣伝を一切しない方針を重ねて示した。

映画の内容は、公開された本編の中で判明。物語は戦中、戦後の日本が舞台で、主人公の名は牧眞人。東京に住んでいたが、戦争が始まって3年目に街が戦火に包まれ入院していた病院が焼かれて母が亡くなってしまう。4年目に東京を離れ、疎開した先で出迎えにきた母そっくりの女性ナツコが、父との間の子を身ごもっており、新たな母になると伝えられる。複雑な心情を抱えつつも、眞人は新しい家に通され、自室のベッドで寝ているうちに母の夢を見て、涙し、目覚めると、家の近所に立つ古い塔に入り込んでいく。

エンドロールで、主演は俳優山時聡真(18)であることが判明。また木村拓哉(50)菅田将暉(30)柴咲コウ(41)あいみょん(28)木村佳乃(47)竹下景子(69)國村隼(67)大竹しのぶ(65)小林薫(71)火野正平(7)滝沢カレン(31)阿川佐和子(69)らも出演。主題歌は米津玄師(32)の「地球儀」であることが明らかになる、異例の初日となっていた。