7月27日に、1960年(昭35)9月20日の開館から約65年の歴史にピリオドを打ち、閉館した…はずの東京・丸の内TOEIで9日後の5日、“おきて破り”のイベントが開催された。西島秀俊(54)主演の日本・台湾・米国合作映画「Dear Stranger/ディア・ストレンジャー」(真利子哲也監督、9月12日公開)完成報告会見が行われた。
関係者によると、作品のテーマの1つに「廃墟」があり、会見を行うにあたり元々、廃墟を探していたという。その中で、丸の内TOEIが閉館することを受け「これから廃墟になっていく劇場」という点が、作品とも映画の会見を行う場所としてもマッチするという結論に達し、実現に向けて動いたという。この日は観客は入れておらず、別の関係者は「イベントは本当に、最初で最後のイベントになると思います」と語った。
「Dear Stranger/ディア・ストレンジャー」は、16年「ディストラクション・ベイビーズ」でロカルノ映画祭(スイス)最優秀新進監督賞を受賞した、真利子哲也監督(44)の6年ぶりの新作。同監督作品への出演を熱望してきた西島と、台湾の国民的女優グイ・ルンメイ(41)が、米ニューヨークで暮らす中、幼い息子が誘拐され、殺人事件へと発展し、互いが抱える秘密が浮き彫りとなり、崩壊していく夫婦を演じた。
西島が演じた賢治は、震災の記憶からか破滅願望の現れか、最新の建築よりも廃墟という存在に取りつかれ、米ニューヨークの大学で建築の研究をしている日本人助教授、グイ・ルンメイ演じる妻ジェーンは、台湾から移住し、キャリアを積みながらも、父の介護や子育てのために活動を抑えている、人形劇団のアートディレクターの役どころ。撮影は全編、多国籍のスタッフが集結して、24年11~12月末までニューヨークで行われ、セリフの9割が英語という挑戦的な作品となった。
西島は「真利子監督のファンだった。企画を見て、脚本を読ませていただき、文化の衝突、家族の難しさ…解決の方法が見つかっていない問題。自分も向き合ってみたいと思って参加した」とオファーを受けた思いを語った。
◆「Dear Stranger/ディア・ストレンジャー」 ニューヨークで暮らす日本人の賢治(西島秀俊)と、台湾系アメリカ人の妻ジェーン(グイ・ルンメイ)は、仕事や育児、介護と日常に追われ、余裕のない日々を過ごしていた。ある日、幼い息子が誘拐され、殺人事件へと発展する。悲劇に翻弄(ほんろう)される中で、口に出さずにいたお互いの本音や秘密が露呈し、夫婦間の溝が深まっていく。ふたりが目指していたはずの“幸せな家族”は再生できるのか?



