世界3大映画祭の1つ、ベネチア映画祭授賞式が6日(日本時間7日)イタリアで開催された。オリゾンティ・コンペティション部門に出品された、藤元明緒監督(37)の長編映画3作目の日本・フランス・マレーシア・ドイツ国際共同製作「LOST LAND/ロストランド」(26年春公開)が、審査員特別賞を受賞した。さらに、独立賞の最優秀アジア映画賞特別表彰、ビサート・ドーロ賞(金の鰻賞)最優秀監督賞も受賞した。同監督は「このような光栄な場をくださったベネチア国際映画祭、審査員の皆さま、そして観客の皆さまに心から感謝します」と感激を口にした。
21年の「海辺の彼女たち」で知られる藤元監督は、日本に住むミャンマー人家族の物語を描いた18年の日本・ミャンマー合作の長編デビュー作「僕の帰る場所」が高く評価された。さらに、ベトナム人技能実習生を題材にした「海辺の彼女たち」では、第3回大島渚賞、新藤兼人賞金賞を受賞。ミャンマーを題材に長年、製作を続けてきたことで知られる。
「LOST LAND/ロストランド」は“世界で最も迫害されている民族の1つといわれるロヒンギャ”の人々の証言を元に紡がれた物語。全編、海外ロケで撮影され、無国籍の幼い姉弟が家族との再会を願い、いくつもの国境を命がけで越えていく希望のロードムービー。演技未経験ながら当事者である主演の姉弟をはじめ、総勢200名を超えるロヒンギャたちが出演する長編映画は世界初だという。容赦のない現実とファンタジーが入り交じる寓話(ぐうわ)的な世界観の中、子どもの視点から難民たちがたどる旅路を描いた。
藤元監督は「国籍を奪われ、故郷を奪われ、命を奪われ、今も迫害に苦しむロヒンギャの人々。同じくミャンマーで苦境にあるすべての人々に、明るい未来が訪れることを願っています。この映画を支えてくれたロヒンギャの仲間たちの才能が、世界に広がっていきますように。映画を愛する皆さま、どうか温かいエールをお願いします」ともコメントした。
渡邉一孝プロデューサーは「ロストランドは、ロヒンギャの人たちや日本人だけではなく、中華系マレー系インド系マレーシア人、フランス人、アメリカ人、ドイツ人、インド人、バングラデシュ人、タイ人、オランダ人など、多くの人種と言葉を持つ人たちが集まってできた映画です。世界の各地でそれぞれの人生を歩んできた人たちが1つの企画に共感し、講堂を起こした先にこれらの賞があることを重く受け止めます」とコメント。ジャウディン・カリムディン共同プロデューサーもコメントを発表した。
「映画に参加できたことを光栄に思います。そして、これを実現したチームに賛美を送ります。監督の試みはシンプルでありながら力強いものです。それは、映画がなければ、自分たちの声を世界と分かち合う術を持たない人々の物語を伝えることです。その声は、1つのメッセージを伝えています。ロヒンギャの人々が「故郷に帰りたい」ということです。他のあらゆるコミュニティーと同じように、私たちもまた、先祖代々の故郷で、平和と信仰と安全の中で暮らすことを切望しています。この映画を受け入れてくださったように、どうか私たちの旅路も受け入れてください。私たちとともに、助け合い、この願いを現実にする手助けをしてください。どうか、この映画が、世界の多くの人々が触れるものになりますように」
オリゾンティ・コンペティション部門は、世界の映画における新しい潮流や革新的な表現に焦点を当てた公式部門。



