先日TBSで行われたイベント「TBS DRAMA COLLECTION 2025 Autumn」を取材した。今秋放送されるドラマ3作品のメインキャスト陣が一堂に会するイベントで、当日はバラエティー番組の生中継が入っていた。マスコミ席のすぐ横でスタンバイしていたお笑い芸人が、目の前に置かれたモニターを見ながら「渋う~っ」とうなり、感嘆していた。視線の先で映っていたのは俳優の佐藤浩市(64)だった。日本を代表する名俳優。どこにいてもその場の空気を掌握するような、りりしい存在感が漂い、記者は眺めていただけなのに緊張してしまった。
同イベントでは登壇者12人が、互いに聞いてみたいことを聞き合うクロストークが行われた。俳優の中村蒼(34)は、長い間役者として第一線で活躍を続ける佐藤へ、「モチベーションを保ち続けるコツ」について質問を投げかけた。返ってきた答えはシンプルだ。佐藤は「やりたいと思える気持ちと、今これをやりたいということは別に分からなくても良いと思うんですよ」としつつ、「ただ、その時その時の自分じゃなくて、先々『こんなことをやりたいな』って思うものをちょっと先に持っておく」と助言した。重ねて「その年になって、自分ができるかなっていう時にその役に巡り合えればそれはそれで良いけど、そうでなくてもその次に何か…っていう風に考える」と続けていた。
2人の対話を聞いているうちに、目標は必ずしも鮮明でなくても良いのかもしれないと思えた。超個人的な話だが、記者自身は周囲の人と自分の選択を比較して、不安に駆られることもあったりする。自分のペースで、自信を持てる選択に着地することが最良だと改めて思い直せた。
佐藤のアンサーに中村は「ありがとうございます」と深く、深く頭を下げた。記者も心の中で一礼した。【望月千草】



