<第16回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 「第16回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」助演男優賞は、フジテレビ系「鍵のかかった部屋」の佐藤浩市(52)が受賞した。プロデューサーや演出家にアイデアを提示するなどして演じたベテラン弁護士を、憎めない人間味あふれるキャラクターに作り上げた。同作からは、大野智が主演男優賞、戸田恵梨香が助演女優賞を受賞しており、俳優部門では3冠となった。

 佐藤が演じたのは、ベテラン弁護士・芹沢豪。密室で起きた難事件に挑むという人気小説が原作だが、原作にはないオリジナルの役だ。佐藤は、ドラマをより盛り上げられるようアイデアを出し、役を作り上げた。一見、大人でかっこいいけれど、子供っぽくて負けず嫌い、美人に弱い…。大野演じる主人公との軽妙なやりとりは、ドラマの見どころの1つになった。

 「やる前、プロデューサーに『遊ぶよ』と言ったんです。清濁併せ持って、小心で小ずるくて、運動神経がなくて、でも憎めないというキャラクターがいてもいいかな、と思ったんです。密室トリックは、話にあまり動きがないので、笑いが生まれるパートができれば」と振り返る。受賞については「遊んでばっかりいたから、賞をもらっていいのか恐縮」と笑った。「遊び」ながらも、全体のバランスを計算していた。「大野くん、戸田くんとの3人のシーンが多いから、引っ込む時も考えないと際立ってしまう」。やりすぎれば作品から浮いてしまうキャラクターになるということも考えていた。

 4月14日に亡くなった父三国連太郎さんは、映画が中心だったが、佐藤は連ドラにも多数出演し、役柄の作り方を築いてきた。「3、4話までに役柄を自分の中に定着させていく。でも、7話くらいになると、飽きちゃうんです。毎回その繰り返し」。“飽きちゃう”は冗談っぽく言ったが、目は真剣だ。「連続ドラマの役が当たってしまうとどうしても同じことを次も求められる。怖さもある。若い役者であればあるほど大変だと思います」。

 飽きっぽいという佐藤だが、変わらないものもある。「人間が出ているものをやっていきたい。視聴率、興行収入と、数字を求められるのは仕方ないですが、結局はいいもの、おもしろいものであればと思っている」と話す。変化を求める俳優の、ゆるぎない姿勢だ。【小林千穂】

 ◆佐藤浩市(さとう・こういち)1960年(昭35)12月10日、東京都生まれ。80年、NHKドラマ「続・続事件」でデビュー。81年、映画初主演作「青春の門」でブルーリボン賞新人賞。主な作品は、ドラマ「新選組!」「クライマーズ・ハイ」「官僚たちの夏」、映画「KT」「ザ・マジックアワー」「最後の忠臣蔵」など。主演の読売テレビ開局55年記念ドラマ「怪物」が今夏に放送。

 ◆「鍵のかかった部屋」

 作家貴志祐介氏による、警備会社に勤める防犯マニア、榎本径が活躍するシリーズが原作。密室で起きた難事件を、榎本(大野智)、若い弁護士の青砥純子(戸田恵梨香)、事務所社長の芹沢豪(佐藤浩市)が解決する。企業法務を専門に扱う芹沢が、密室事件に関わり、榎本と知り合い物語が始まる。ほかに能年玲奈、宇梶剛士らが出演。

 ◆ドラマグランプリ

 3月22日から29日まで日刊スポーツのホームページ「ニッカンスポーツ・コム(PC版)」、スマートフォンサイト「ニッカンエンタメ・プレミアム」、携帯サイト「ニッカン芸能!」と宅配読者の携帯会員サイト「ニッカンポイントクラブ」で、昨年4月から今年3月までに放送された連続ドラマを対象に、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞、作品賞を選ぶアンケートを実施。各期(4、7、10、1月)ごとのベスト5、各部門計20人(作品)を候補とした。投票総数は2624票。男女別では男性が685票、女性が1939票、世代別では10代以下が45票、20代109票、30代358票、40代1026票、50代823票、60代以上が263票だった。