<有馬記念>
イクイノックスが、また1段階上のレベルに到達した。天皇賞・秋では後方から上がり32秒7の脚で大逃げしたパンサラッサを捉えたが、中山2500メートルに舞台が替わると、ある程度のポジションから早めに動いて後続を完封。豪快な末脚だけでなく、どこからでも競馬ができる自在性も手に入れた。
レース序盤は前進気勢が強く、少しハミを取る感じで進んだ。こうなるとライバルは自分自身。周囲の馬がどうこうではない。走る気満々の愛馬をいかにコントロールできるか。ルメール騎手も折り合いに一番気を使っていた。1周目のスタンド前は中団の外。エフフォーリアの後ろで流れに乗せた。
向正面では前とかなり接近する場面もあったが、うまくなだめて仕掛けのタイミングをうかがう。行く気になればいつでも2番手まで押し上げられる手応えがありながら、馬の後ろでしっかり我慢。このあたりが操縦性の良さだ。外へ出してゴーサインを送ったのは残り600メートル地点。
タイトルホルダーとの距離を計りながら、後ろからまくられないタイミングで出ていく。4コーナーではエフフォーリアと横の間隔を少し空けながら、先頭をのみこんだ。あとは後続を待たず一気にスパート。追いかけてきた2着ボルドグフーシュに影も踏まさぬ楽勝だった。
来年は海外遠征も視野に入ってくるが、日本馬特有のスピードだけでなく重厚感あふれるパワーと瞬発力も兼ね備えており、仮にヨーロッパの深い芝でも克服は可能。これだけ強い競馬を見せても、まだ完成形ではない。イクイノックスの無限の可能性は、世界の大舞台でさらに広がる。



