競馬の世界的知名度は低い? 今回の「競馬ラプソディー ~楽しい競馬~」は、東京・深田雄智記者が来年に開催予定の「世界騎手リーグ」について取り上げる。クリストフ・ルメール騎手から言われた衝撃の一言から、よみがえったのは記者自身のレスリング競技の地位。この騎手リーグが、世界中にどんな影響を与えるか-。競馬の人気に言及した名手の言葉に耳を傾けるべきだ。

5月上旬のこと。武豊騎手やルメール騎手、他にL・デットーリ騎手、R・ムーア騎手、J・モレイラ騎手、W・ビュイック騎手など世界トップジョッキー12名が集い、「世界騎手リーグ」の開催が、英競馬メディアで発表されました。開催地は欧州を転戦。大レースに合わせた時期に行う予定で、概要を聞いただけでも競馬ファンならぞくぞくしてしまいます。

このニュースの発表後、美浦トレセンに来ていたルメール騎手へ話を伺う機会に恵まれました。「まずは選ばれてうれしい。良いコンペティション(競技会)で、フォーミュラワン(F1)みたいね。これまでの騎手シリーズ戦(WASJなど)は抽選で全て決まってしまうところがあった。けどこのリーグ戦は、たとえ負けても切り替えられるし、ジョッキーの能力を競うという意味ではすごくフェア」と名手たちとの共演を楽しみにしていました。

続けてこんな言葉も。「日本では競馬はすごい人気だけど、海外は全然知名度が低い。母国のフランスは凱旋門賞の時だけ。若い人はあまり競馬を知らない、興味ないみたい。僕もフランスでは外を歩いていても声をかけられないし、“クリストフ・ルメール? 誰ですか”みたいな感じ(笑い)」。ユーモアを交えつつ、競馬の現状をわかりやすく教えてくれました。

世界中に競馬の魅力を届けたい-。このリーグ戦の意義は、競馬界のさらなる発展です。

知名度の低さを嘆く言葉を聞き、記者が現役のレスリング選手だった頃を思い出しました。五輪で毎度金メダルを大量に獲得する競技ながら、日本では決してメジャースポーツとはいえない人気。メダリストが積極的に普及活動へ取り組んでも、知名度に結びつかない現状です。一方米国では、大学選手権で会場が超満員に。SNSのフォロワーも、強豪選手は誰でも10万人以上。規模が違いすぎます。この状況なら、競技を続ける意味がない。いつか爆発的な人気を誇るようになるかも知れないけど、近い将来の話ではない。日本代表に選ばれたこともありましたが、そんな思いからモチベーションは低下し、記者は競技を辞めました。

ただ、日本を代表する名手の考えは違いました。「Horse racing becomes famous(競馬は有名になる)」と英語で力強く答えました。それは魅力を理解しているから。自分が活躍すれば、発信、発展へとつながる-。そして「もし騎手を辞めたとしても、このリーグ戦があれば競馬界へ携わることができる。プロモートしたい、日本でも開催したいね」。競馬が世界中で盛り上がるスポーツに-。名手たちが力を合わせ、新たな挑戦が始まります。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)