今回の「ケイバラプソディー」は岡山俊明記者がばんえい競馬の主役、輓馬(ばんば)の生産育成牧場を訪ねた。北海道乙部町で澤井ファームを営む澤井節夫さん(69)は、2歳4月から始まる能力検査(能検)に向けて馬の体づくりと鍛錬にいそしむ。
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北海道の輓馬生産は帯広市を中心とする十勝地方や根室、釧路といった道東が主だが、日高や空知、胆振など幅広い地域で行われている。大半は小規模で、澤井さんも夫婦2人で夢を追う。今は繁殖牝馬2頭、当歳馬2頭、預託の1歳馬2頭をけい養している。
特色は牧場から近い砂浜を利用した調教。日本海に面した江差町五厘沢の海岸に馬を運び、2歳1月から3月上旬まで本格的なトレーニングを行う。2歳4月から始まる能検合格を目指すのだ。それを突破しなければレースに出られない。今年の第1回能検は150頭中、合格33頭(合格率23・7%)という狭き門。牡馬は490キロ、牝馬は470キロのソリを引き、200メートル走路を4分以内で走破すればパスできる(今年は7月17日まで8回実施)。「今まで20頭近く出して、落としたことがない」というから、“名人”と呼ばれるのもよく分かる。
極寒の中、浜へは朝4時に出る。引かせるソリの重さは最大で300キロ。距離は3キロ、体力のある馬であれば5キロ歩かせる。「硬い地面よりも負荷がかかって体力がつくんです。馬の体力に合わせて距離や重さを考えますが、疲れてしまって引き返せなくなることもありますね」。
夏場の今は預託されている1歳馬2頭(いずれも父コウシュハウンカイ)の体づくり。目安として体重850キロまで増やしたいという。「食べてくれる馬は楽だけど、神経質な馬は気を使いますね。カイバの量は馬の様子を見て加減します。日々の観察が大事です」。まだ4市持ち回りで道営競馬が開催されていた30代前半に2年間、競馬場で厩務員として携わった経験が生きている。
放牧地では母馬2頭に5月に生まれたばかりの子馬が寄り添う(メジロゴーリキ産駒の牝馬とコマサンダイヤ産駒の牡馬)。生産、飼育、育成、調教と多忙な毎日。「馬が好きだから全然苦にならないですね。自分の手がけた馬がレースを走ったら感動して涙が出てくるんですよ」。ここから巣立ったシンザンボーイ(19年北見記念)や現役のタカラキングダム(4歳路線3冠など重賞8勝)を越える出会いを求め、どこまでも挑戦は続く。(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)









