予期せぬ長旅を力に変えた。関東馬ゾロアストロ(牡、宮田)が1番人気に応えた。重賞3度目の挑戦で初制覇。最内を伸び、4着まで頭+鼻+首差の大接戦を制した。勝ち時計は1分48秒0。美浦から土曜に京都競馬場入りも雪で2日順延。不測の事態に順応し、クラシック参戦に必要な賞金をつかみ取った。ドイツのトール・ハマーハンセン騎手(26)は日刊スポーツ賞シンザン記念に続くJRA重賞2勝目となった。
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待ったかいがあった。検量室前で宮田師とスタッフが「やったな!」と手を合わせた。ゾロアストロがつかんだ2日遅れの歓喜に浸った。雪解け後で京都の芝は荒れ、直線は内ラチから10頭分以上外でも馬群の最内。遊び遊びの走りも、ゴール前で先行馬に併せてひと伸び。4頭横並びからぐいっと前に出た。ハマーハンセン騎手は「ギアの上がり方がシャープじゃないけど、波に乗るとすごくいい脚だった」と馬上で左拳を握った。
全部雪のせいにはしなかった。このレースに出走した関東馬3頭中2頭は栗東滞在。その中でゾロアストロは京都に唯一の土曜入りだった。出発前の金曜、寒波予報に宮田師とスタッフで協議。普段は積まない調教道具を持参。カイバの量を1日多くした。結果的に2日順延。調整は制限されたが、月曜は京都競馬場の計らいで開放されたダートコースを使えた。宮田師は「カイバは1日分足りなくて補充しましたし、ちょっと想像以上でした」と苦笑い。それでも「馬も人も厩舎としても大きな自信になる1勝でした」とかみしめた。
けがの功名だ。以前は精神面に幼さが目立ったが、長旅がいい場慣らしに。この日は落ち着きが目立った。貴重な賞金を手にし、今後は皐月賞、ダービーと王道に乗る。鞍上が「2400メートルはこなせる」と言えば、宮田師も「モーリス産駒ですがいい意味で遊びがあるので、それを持たせながら育てていければ」と距離延長に自信を見せる。かわいい子には旅をさせよ。唯一無二の経験は、確実に大舞台へとつながる。【桑原幹久】
◆ゾロアストロ ▽父 モーリス▽母 アルミレーナ(ディープインパクト)▽牡3▽馬主 (有)サンデーレーシング▽調教師 宮田敬介(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 5戦2勝▽総獲得賞金 7338万9000円▽馬名の由来 オペラの登場人物名。魔法使い

