男子やり投げ(切断などF46)で、山崎晃裕(21=関東パラ陸協)が自らの日本記録を更新する56メートル30で優勝を飾った。2投目までは40メートル台にとどまったが、3投目に50メートル90を投げ、4投目に自己ベストをマークした。

 山崎は笑顔で胸を張った。「自分に力があることを証明できました」。15年秋に障がい者野球の日本代表からやり投げに転向し、5カ月後の昨年4月に54メートル48を投げて28年ぶりに日本記録を更新した。しかし故障もあってリオ代表を逃すと、その後は記録が伸びていなかった。

 ただ、今季はフォームが安定して記録への手応えも膨らんでいた。初の世界舞台だった7月のロンドン世界選手権は53メートル55で5位。メダルも視野に入れていただけに悔しさも募ったが、「あれだけの観衆の前で自分の心と体をコントロールしながら競技した体験は貴重でした」。基礎体力強化に加え、やりの引き方や足さばきなど、この種目独特の細かい技術も身についた。「去年の日本記録は勢いでしたが、今はこうすれば距離が出ると納得できている」という。

 この日で今年の競技日程は終了した。オフにはもう1度体を鍛え直して3年目のシーズンに備える。「来年は60メートルを投げたい。10月のアジアパラで金メダルを取ります」。日本初の大台突破も近づいてきた。現在の世界記録は63メートル97。20年東京へも夢が広がる山崎のビッグスローだった。【小堀泰男】