男子49キロ級で西崎哲男(43=乃村工芸社)が138キロの日本新記録をマークした。

パーフェクトだった。130、134キロと順調に重量を上げ、3回目の136キロで自身が保持していた135・5キロの日本記録を更新。さらに記録に挑む特別試技で138キロに成功した。全4回の試技で3人のジャッジがすべて成功の白ランプをつけた。

「僕にとっては2月のW杯(英国)以来8カ月ぶりに試合で、日本記録を更新するという目標はクリアできました。4本目は自分としては納得がいきませんでしたが、精度を上げることもできたと思います」

16年リオデジャネイロ・パラリンピックは54キロ級で出場したが、少しでも東京パラへの可能性を広げるために昨年9月のテストイベントから最軽量の49キロ級に転向した。出場権を争うランキングでは12位。圏内の8位以内に食い込むには最低でも10キロ以上の重量の上積みが必要になる。

今大会はランキング対象外だが、コロナ禍の中、所属先の練習施設で定期的に自己ベストに挑むなど実戦感覚の維持に努めてきたことが結果に表れた。コロナウイルス感染予防策として選手はマスク着用を義務づけられたが「練習から想定して(マスクを)着けていたので違和感はなかったです」と最後まで集中力も途切れなかった。

「東京パラリンピックの開催を信じてトレーニングしていきたい。もし出場できれば、応援してくださる方々と喜びや感動を分かち合えるよう頑張りたいです」。その人柄を表すように西崎はオンラインでメディアの質問にも丁寧に応じた。今後の国際大会の日程は未定だが、できる限り出場してランキングを上げ、東京キップ獲得を目指す。【小堀泰男】

◆パラ・パワーリフティング 下肢に障がいを持つ選手が対象で、台上にあおむけになった状態でバーベルを押し上げて重量を競うベンチプレス競技。東京パラでは男女各10階級が行われる。最低出場標準記録をクリアし、国際パラリンピック委員会が指定する国際大会の成績が反映されるランキングで、来年6月までに上位8位以内に入れば出場権が得られる。