日本代表の活動期間でJ1リーグ戦が中断している中、J2は史上まれに見るハイレベルな戦いを繰り広げている。

首位アルビレックス新潟と2位京都サンガFCが勝ち点37で並び、3位ジュビロ磐田が同35、4位FC琉球が同34で続く。ここまで上位4チームが17試合を消化して試合数の倍以上の勝ち点を獲得。J2が22チーム制となった12年以降、第17節終了時点で4チームが勝ち点34以上は初めてのケースだ。

今季のJ2はレギュレーションが従来と異なり、昨季J1だったチームの降格がない。大本命不在のままシーズンを迎え、昨季11位の新潟と同16位の琉球がそろって開幕5連勝とスタートダッシュに成功した。その後に京都と磐田が猛追し、上位争いは大混戦となっている。

さらに今季は3~6位が参加できるプレーオフがなく、J1昇格は自動昇格の上位2チームのみ。毎年のように大混戦となる昇格争いはさらに厳しさを増す。今季ここまでの上位4チームは緊張感のある戦いを続け、下位チームからの取りこぼしもなし。現在、降格圏に沈む4チームとの対戦に限れば1度も負けていない。

12年以降の2位チームの平均獲得勝ち点は81だが、今季の上位4チームはそれを上回る84以上のペースで勝ち点を積み重ねている。川崎フロンターレが首位を独走するJ1と違い、今季のJ2は日程も含め、例年以上にタフなシーズンとなっている。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)


◆首位新潟 上位チームとの直接対戦が増えた最近4試合は1勝1分け2敗。それでもスペイン人のアルベルト監督が志向するポゼッションサッカーで内容では圧倒した。リーグ最多36得点の攻撃は破壊力抜群で、10番を背負う20歳のMF本間至恩の切れ味鋭いドリブルは一見の価値あり。

本間至恩(2021年4月23日撮影)
本間至恩(2021年4月23日撮影)

◆2位京都 就任1年目の曹貴裁監督の下、とにかく走る。先発に定着した19歳のMF川崎颯太はリーグトップのタックル数を記録するなど強度の高いプレーが目を見張る。球際の強さと攻守の切り替えの速さで、4月以降はクラブ記録にあと1試合と迫る12戦負けなし(9勝3分け)。直近の2試合は0-0に終わったが、先制したら11戦全勝。

曹貴裁監督(2019年4月6日撮影)
曹貴裁監督(2019年4月6日撮影)

◆3位磐田 開幕2連敗を喫したが、クラブ記録に並ぶ4試合連続無失点勝利中で昇格圏まで勝ち点2差と迫った。この4試合は元日本代表の41歳MF遠藤保仁が先発し、チームの勝利に貢献。昨季10ゴールのFWルキアンはシーズン折り返し前に10得点に到達し、得点ランク首位に立つ。元日本代表MF山田大記もチーム2位の5得点と、その戦力はJ1レベル。

遠藤保仁(2020年10月14日撮影)
遠藤保仁(2020年10月14日撮影)

◆4位琉球 就任3年目の樋口靖洋監督が目指す攻撃的なスタイルがチームに浸透。19年は14位、20年も16位に終わったが、今季は開幕から5連勝を飾るなど大躍進を果たしている。左の沼田圭梧、右の田中恵太の両サイドバックは積極的に攻め上がり、クロス数でそれぞれ2位、3位。左右バランスのいいサイド攻撃はJ2屈指だ。

樋口靖洋監督(2015年4月12日撮影)
樋口靖洋監督(2015年4月12日撮影)

○…今後も上位争いに加わりそうなチームがある。昨季4位のヴァンフォーレ甲府は勝ち点30で5位。堅守を武器に大崩れすることなく、5月以降は○△○○○△△と7戦負けなし。京都、新潟の首位チームとの連戦となった直近の2試合も粘り強く戦って引き分けた。昨季3位(勝ち点80)でJ1昇格を逃した現在7位のV・ファーレンも最近5試合は○△○○○と上り調子。昨季同様、このまま昇格争いに加わりそうな勢いだ。


◆12年以降J1自動昇格2チームの勝ち点

<12年>

1位 甲府86

2位 湘南75

<13年>

1位 G大阪87

2位 神戸83

<14年>

1位 湘南101

2位 松本83

<15年>

1位 大宮86

2位 磐田82

<16年>

1位 札幌85

2位 清水84

<17年>

1位 湘南83

2位 長崎80

<18年>

1位 松本77

2位 大分76

<19年>

1位 柏84

2位 横浜FC79

<20年>

1位 徳島84

2位 長崎84