<W杯アジア最終予選:日本4-0タイ>◇B組◇28日◇埼玉スタジアム

 「ゴールするだけではなく、パスやクロスも出せる選手」。久保がこの2試合で仲間に与えた印象はこうだろう。香川への先制点の起点になり、岡崎に絶好のクロスで追加点をアシスト、そして自身でダメ押し点。強引にシュートを打つだけではなく、実は周囲の動きに自分を合わせられ、ダイレクトプレーやクロスで仲間の特長を引き出すうまさを併せ持っていた。

 しかも日本が採用する右FWの位置だと、その両面がスムーズに出せるのが分かった。仲間に攻撃センスが十二分にあることを理解させたのは大きい。A代表で何十試合も経験があると思わせるような落ち着きだった。

 日本全体の課題は残った。前半は相手DFラインに日本の攻撃の選手が3、4人並んで、中盤の数が少なくなり、つなぎのサッカーができなかった。後半は改善できたのだが、もっと早く修正能力を発揮しないと、世界では勝てない。(日刊スポーツ評論家)