七夕の夜空に、ドイツから何を願ったのだろうか。G大阪からドイツ1部アウクスブルクへ新加入した日本代表FW宇佐美貴史(24)は、7日の午前中、練習場に立っていた。チームは約1週間のオフ中。それでも、根は真面目の24歳は自主トレを敢行した。1日に正式契約を結び、2日に練習初合流。3日の練習試合では後半途中から出場し、約10分後にゴールを決めた。宇佐美にとって2度目の欧州挑戦は順調な滑り出しだ。

 6月25日、市立吹田スタジアム。G大阪-名古屋の試合後、宇佐美のお別れセレモニーが行われた。涙を流しながら、1つ1つの言葉を大事に伝えたスピーチ。「またいつかこのクラブでやれることを夢見ています」。熱い生え抜きエースの本音は、ファンの心をつかんで離さなかった。

 最後に直球で自分の気持ちを伝えるところが宇佐美らしい。私は昨年1月からちょうど1年半、宇佐美の取材をしてきた。毎日のように話を聞いてきたが、宇佐美の言葉は頭に残る。自分自身を相手の印象に残すことが得意なんだと思う。

 昨年8月。宇佐美はACLアウェー全北戦の2日前にブログで蘭夫人の妊娠を公表した。翌日、父親になる覚悟とゴールへの意気込みを語った。ちょうどその時期、G大阪でFWから左サイドへポジションを変更し、手応えをつかみ始めているところだった。

 「左サイドのイメージはできてきた。壁の一番上に手が掛かっている状態」

 なるほど。立ちはだかる壁をもうすぐ越えられそう、ということか。

 昨年5月。プレミアリーグ・アーセナルへ移籍する広島FW浅野がJ1初ゴールを決めた時、宇佐美のプレーを参考にしたという話を聞き「うれしいし、ああいうプレーしたいと思ってもらいたい。自分の色は他の人より濃い色でないと」と返した。突き抜けたい、目立ちたいという意味でも、印象づける話し方をしていた。

 1回目の欧州挑戦となった19歳の時には、言葉の壁にも悩まされた。日本に帰ってから経験を積んだ3年間で、表現が豊かになったと思う。ぜひ、宇佐美語録を引き続きドイツから発信して欲しい。【小杉舞】


 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大教大から14年入社。同年11月からサッカー担当(西日本)。甲子園の売り子時代に培った体力には自信あり。