ポステコグルー体制2年目を迎えた横浜F・マリノスが、リーグ戦の約3分の1となる13節を終えて5位とまずまずの順位につけている。

けん引役の1人が、今季加入したブラジル人FWマルコス・ジュニオール(26)。U-20(20歳以下)ブラジル代表に選出経験がある助っ人は現在、リーグトップタイの7得点を記録している。

「元気玉」のパフォーマンスをする横浜FWマルコス・ジュニオール(左)
「元気玉」のパフォーマンスをする横浜FWマルコス・ジュニオール(左)

167センチ66キロと、体格は日本人と交じっても小柄な部類に入る。足元の技術の高さを生かしたボールコントロールに優れ、チャンスメークが得意。自身の決定力も高く、攻撃の「何でも屋」だ。最前線、トップ下、ウイングと、複数ポジションをこなせる器用さも武器。「自分はポジションがどこであっても、試合に出ることができればいい」と謙虚に話す。攻撃だけでなく猛然とプレスを繰り返す姿からも、献身性の高さが伝わる。

愛称は「クリリン」。日本の人気漫画「ドラゴンボール」に登場するキャラクターで、自身も頭をそり上げていることから、ブラジルでプレーしている頃に呼ばれるようになった。自身も大ファンで、幼少期からブラジルでアニメを観て育ったという。左腕にも、クリリンのタトゥーが入っている。

マルコス・ジュニオールのクリリンタトゥー
マルコス・ジュニオールのクリリンタトゥー

前所属のフルミネンセ時代から、ゴールパフォーマンスは主人公・孫悟空の得意技「かめはめ波」。横浜に加入してから、得点力とともにドラゴンボール愛が爆発している。4月5日のアウェー浦和戦では2得点。パフォーマンスはクリリンの技「気円斬」になった。続く13日の名古屋戦で得点した際は、孫悟空の必殺技「元気玉」。隣ではFW仲川輝人が登場キャラであるピッコロの「魔貫光殺砲」をアドリブで披露するなど、チーム内でも愛されキャラであることをうかがわせた。

気円斬ポーズをするマルコス・ジュニオール(左から2人目)
気円斬ポーズをするマルコス・ジュニオール(左から2人目)

4月28日の鹿島戦後には、自身のSNSでパフォーマンスを公募した。5月18日の神戸戦で得点した際には、1番人気だったトランクスの「バーニング・アタック」を披露。そして直近の26日ホーム磐田戦では、FW仲川とともに合体技「フュージョン」をやって見せた。

ドラゴンボール好きという親日ぶりは縁でもあるが、外国人選手の中でも目立つひたむきさが愛される理由でもあろう。この男がゴールパフォーマンスの回数を増やせば増やすほど、横浜の躍進につながっていく。シーズンが終わったとき、マルコス・ジュニオールがいくつの技を披露したか…。ずらっと写真を並べて眺めるのが、小さな楽しみである。【岡崎悠利】

◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり) 1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材。16年11月からはサッカー担当で今季は主に横浜とFC東京、アンダー世代を担当。