なでしこジャパンに楽しみな選手が入ってきた。9月20日にカナダ代表と戦う国際親善試合(10月6日、アイスタ)に臨む女子日本代表メンバー24人が発表され、浦和レッズレディースのDF高橋はな(19)がA代表初選出を果たした。

高橋の特長を一言で言えば、FWとDF両方を高いレベルでこなす“二刀流”だ。飛び級で出場した昨夏のU-20W杯フランス大会では、同大会後に一足先にA代表初選出を果たすDF南萌華(20)と共にセンターバックでコンビを組み、日本の初優勝に貢献。今回のA代表でもDFとして選出された。

しかし、首位で迎えた今月22日のリーグ戦では、昨季女王の2位日テレ・ベレーザとの首位攻防戦で、コンディション不良で欠場した日本代表FW菅沢優衣香に代わり、1トップで先発。2得点を挙げて3-2の勝利に貢献した。

今季は何度か攻撃的な位置で起用されていたものの、先発出場は2度目。直前の練習ではうまくいかないことも多かったといい「自分が代わりになれるのかなという思いもあった」と漏らした。

だが、試合が始まると前線でのフィジカル勝負で優位に立ち、チームの攻撃をけん引。先制となった1点目はスルーパスに抜け出して鮮やかに左足で流し込み、2-1で迎えた後半32分には右サイドのクロスに頭を合わせ、この試合の主役となった。

高橋は浦和の下部組織にいた中学時代までは攻撃的な選手として長くプレーしていた。16年U-17W杯ヨルダン大会でもFWとして出場し、準決勝スペイン戦で2得点を挙げるなど、日本の準優勝に貢献した。高校進学と同時に女子では大柄な168センチの体を生かしてセンターバックでの起用も増えたといい、以降は年代別代表でもDFとして活躍した。

A代表の高倉麻子監督は、代表発表会見で高橋について「体にも恵まれていますし、スピードもいいものを持っている。A代表の試合でどれくらい良さを発揮してくれるのか、1回このタイミングで呼ぶことにしました」と期待を込めた。高倉体制ではセットプレーからの得点が少なく、高橋が日テレ戦でみせたような思い切りの良いヘディングシュートはA代表でも強みになる可能性はある。

高橋はA代表初選出にあたり「FWもDFもどちらともポジティブにやれています。求められるものがある中で、自分の100%をしっかり出したい」と意気込んだ。カナダ戦は東京五輪へ向けた仕切り直しの一戦でもある。今回唯一の初選出となった期待の新星が、どのようなインパクトを残すのか注目したい。【松尾幸之介】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆松尾幸之介(まつお・こうのすけ) 1992年(平4)5月14日、大分県大分市生まれ。中学、高校はサッカー部。中学時は陸上部の活動も行い、中学3年時に全国都道府県対抗男子駅伝競走大会やジュニアオリンピック男子800メートルなどに出場。趣味は温泉めぐり。