日本代表FW武藤嘉紀(26=ニューカッスル)が、森保ジャパン初先発初ゴールを挙げた。先制されてから3分後の前半43分、右サイドバック室屋のクロスに頭を合わせ、押し込んだ。完璧にDFのマークを外しての、嫌な流れを吹き飛ばす同点弾。15年10月の国際親善試合イラン戦(テヘラン)以来3年3カ月、1192日ぶりとなる代表でのゴールに「ホント『長らくお待たせしました』という感じ。自分自身、吹っ切れた部分もあるので、今日の1点というのは非常に大きいものなんじゃないかなと思います」と喜んだ。

アギーレ監督時代の14年9月ベネズエラ戦で初得点を記録して以来、代表通算27試合目で3点目。点取り屋としては遅いペースに「な、ぜ、か、代表に入ると点が取れないというのがホント長く続いてて。自分自身、ちょっと悩んだ時期もあったんですよ。だけど今日、原口選手から試合前に『お前らしさを全部出せば絶対決まるから』という言葉をもらって。すごく後押しになりましたし、ホントうれしかった」と吹っ切れた。

その得点場面については「スカウティングで、クロスの時に相手がかなり下がる傾向にあると分かっていたので。そういった面で、北川選手がニアでつぶれてくれて。自分はもうあそこに来るボールを待ってて、ドンピシャで室屋選手から素晴らしいボールが来たので。信じて走って、決めるだけだった。あれがやっぱり得意な形」と納得した。

W杯ロシア大会でも、今回と同じく1次リーグ第3戦で先発が回ってきた。結果はポーランドに0-1。最後はボール回しで終わった。武藤は得点を求めすぎるあまり空回りし、チャンスで外し、孤立した。「僕ら(サブ組)が3戦目を戦って、負けてしまって。かなり非難されて、こういう思いは、もう2度としたくないと思った。だからこそ今日は、内容うんぬんよりも、何としても結果で応えないといけなかった」。懸ける思いが強かっただけに同点弾の喜びも、ひとしおだった。

この後、ボランチ塩谷に決勝ミドルが生まれ、2-1でウズベキスタンに逆転勝ち。3連勝でF組1位になった。21日の決勝トーナメント1回戦の相手はサウジアラビアに決定。試合後の時点では相手は決まっていなかったが、武藤は次戦に意欲を見せていた。「ホントに今日は全員、素晴らしいプレーをしていたと思う。チームとしての底上げにつながるし、誰が出ても戦えると見せられたのは非常に大きかった。とにかく先を見すぎず、1戦1戦、100%出し切って勝つこと。力を残して勝てる相手ではないと思うので。僕もしっかり準備して。今日、90分近くプレーできたのはコンディション的にもかなりプラスになる。ぅん。自分自身、またゴールを決めて日本の勝利に貢献できればいいなと思います」と気持ち良く話し、スタジアムを後にした。【木下淳】